きっぷ片手に旅をする

公共交通利用が中心の旅行記がメイン。月3回程度のペースで定期更新中。

多彩な姿を見せる福井の鉄道(4) ――福鉄レトラムに乗る

訪問日 2016.5.28

 福井鉄道の高架を見学して福井駅に戻ったあとは,昼食を挟みつつ西口の”福井駅”駅へ。ドイツ・シュツットガルト路面電車として走っていたF10形735号”レトラム”に乗車します。

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 ヒゲ線が走る駅前電車通りをゆっくり走るレトラム。この日本の地方都市にありがちな商店街にヨーロッパのトラムが走ってくるというミスマッチさ。だがそれが良い。

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 福井駅に到着してF1000形”FUKURAM”と並ぶレトラム。F1000形はドイツのメーカーの技術供与を受けた新潟鐵工所の製造で,どちらもドイツに所以のある車両。

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 車内はこんな感じ。日本の仕様に合わせて一部仕様が変わっているようですが,それでも異国情緒がかなり漂っています。路線図やドイツ語表記のサイン類も多く残っています。

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 運転台。日本ではあまり見ないコックピット配置。左手で力行と抑速?,右手でブレーキを操作するようで,特殊な操作が必要に見えます。

 このレトラムに乗って鯖江方面へ。車掌さんが肉声で次駅案内をしたり乗降時のステップを下ろしていたりなど気になる点はいくつかありましたが,特に気になったのは鉄道区間で速度を出したときの揺れが大きかったこと。鉄道線区間は急行なので50~60kmで走っているのですが,軌道がヤバイのか台車がヤバイのか知りませんが飛び跳ねるように走行していて凄かったです。

 それにしても,先行の急行が立ち客が出るほどの乗車率だったのにもかかわらず,この日のレトラムの乗客は数えるほどでした。レトラムは観光資源として鉄道ファンを呼び寄せるために県が修理費込みで購入した車両。この車両の行く末が少し心配です。

 レトラムは非冷房車のため,春・秋の土日を中心に運行されています。

多彩な姿を見せる福井の鉄道(3) ――新幹線高架を走るえちぜん鉄道

訪問日 2016.5.28

 えちぜん鉄道と関連する自治体では北陸新幹線開業の再開発と連動して,福井~福井口間の高架化を進めています。えち鉄は北陸新幹線の東側を走る予定で,高架線路建設のための仮線として北陸新幹線の構造物を借りています。

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 仮線区間新福井駅で降りてその様子を見てみました。土木マニアではないので詳しいことはわからないのですが,単行や2両編成の列車と,地方鉄道としては豪華すぎる路盤のギャップが面白いです。仮線として新幹線高架を別の鉄道が走るのは開業前の東海道新幹線の路盤を借りた阪急京都線以来でしょうか。

 2015年9月28日から供用されているこの仮線は,高架化工事の進捗とともに切り替わる予定で,2018年ごろまでの運行とのことです*1 *2

多彩な姿を見せる福井の鉄道(2) ――えちぜん鉄道三国芦原線

 訪問日 2016.5.28

前回の記事の続き。

 福鉄電車に乗って田原町へやってきました。田原町福井鉄道えちぜん鉄道三国芦原線の接続駅で,2016年3月27日以降この駅を介して一部列車の直通運転を始めました。福井市およびその近隣地域間の南北移動軸が強化されることが期待されています。

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 えちぜん鉄道福井鉄道が並ぶ田原町駅。直通運転に合わせて駅の改修が行われ,真新しさが残っています。

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 さきほどとは逆向きの構図で。ちょうど800形による乗務員訓練試運転列車が発車。この右側の線でえちぜん鉄道-福井鉄道の線路が接続され直通運転が可能となっています。

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 えちぜん鉄道側の直通運転の様子を見に行くため三国港行きの電車に乗って数駅,八ツ島駅で下車。えちぜん鉄道は通常の鉄道線車両が運行されている路線で,LRV車両の乗り入れのためにえちぜん鉄道側は低床ホームが新たに設けられています。低床側のホームに立っていると列車がかなり大きく見えます。

 えちぜん鉄道線内での低床ホームの新設は単式ホームの場合は既存のホームを延伸して低床ホームを新設,島式ホームでは相対式ホームを新設といった具合で行われています*1

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 えちぜん鉄道に乗り入れる福鉄F1000形”FUKURAM”。当然ながらLRVの車両は高床ホームの横を通過して低床ホームに停車します。高床と低床が共存するホームはかつて名鉄岐阜市内線が存在していた頃にありましたが,現在ではえちぜん鉄道くらいじゃないでしょうか。

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 LRV車両の車内から高床ホームを見てみるとこんな感じ。ドアが全面ガラス張りなこともあって視界の1/5がホームになってしまっています。

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 この列車に乗って終点の鷲塚針原にやってきました。鷲塚針原は福井市川合鷲塚と春江町針原の境界付近にある駅。この駅がえちぜん鉄道側での直通運転最遠区間となっています*2えちぜん鉄道側の乗り入れがこの鷲塚針原までとなっているのは,乗り入れに関わる工費削減と乗り入れ区間福井市内のみとすることで費用負担協議を進めていたことによるそうです*3。 

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 時間の頃合いもよかったので観光モードに切り替えて鷲塚針原から三国港行きの電車に乗って終点まで乗車,バスに乗り換えて有名な東尋坊に行ってみました。柱状節理の切り立った崖が美しかったです。天気がガスっているのがちょっと残念。

多彩な姿を見せる福井の鉄道(1) ――福井鉄道

訪問日:2016.5.28

 前のページで福井行きのバスに乗ったのは,福井市を中心に運行される鉄道の訪問にありました。率直に申し上げて福井の鉄道はいま面白いことになっています。福井県や市では自動車に過度に依存しない持続可能なまちの実現を目指し*1,公共交通網の見直しと様々な施策を実施していて,中でも福井鉄道えちぜん鉄道の直通運転が実施されたことは特筆すべきところです。もともと福井鉄道はインターアーバンの代表格的な運行スタイルを持っていて,福井市中心部では併用軌道を,郊外では鉄道線でもって高頻度運転を行っていました。直通運転によってえちぜん鉄道もその運行スタイルを持ち合わすことになり,福井市では多彩な姿を見せる福井の鉄道を見ることが出来ます。

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  巨大な恐竜のオブジェクトが圧巻な福井駅西口。北陸新幹線福井延伸を見据えて駅前再開発が進んでいて,2016年3月27日には福井鉄道支線(通称ヒゲ線)が西口広場に乗り入れました。

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 JR福井駅をバックに”福井駅”駅を出発する福鉄電車。この乗り入れにより雨に濡れること無くJRとの乗り換えができ,利便性が向上していると思われます。

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 まだ朝早くなので市役所前駅付近で撮り鉄を続けてみます。福井鉄道は地方私鉄ながら急行運転も行っています。足羽川に架かる幸橋を渡り市役所前駅へ向かう元名鉄岐阜市内線の880形。

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 急行のほかにも区間急行も。併用軌道をもつ事業者で複数の列車種別を持っているところってかなり珍しい部類かと思います。急行・区間急行ともに併用軌道内での急行運転は行いませんが。

 福井駅への支線は市役所前駅の田原町方からしか入ることができず,写真の区間急行越前武生行きのような福井駅→武生方面の列車は福井駅を発車して市役所前の田原町方面のホームに入ってエンド交換をしてから越前武生方面のホームに入ってきます。武生方面→福井駅の列車も逆のことをします。

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  2013年に鳴り物入りで新造されたF1000形"FUKURAM"。福井の公共交通利用促進に一役買うと期待されているLRVで,乗降時のステップを失くしたバリアフリー仕様かつえちぜん鉄道への直通もできる優れものです。この列車も田原町からえちぜん鉄道に乗り入れて福大前西福井までの運行。

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 別のタイミングで撮影したF1000形"FUKURAM"の車内。座席配置は海外に多い”非”字に近く,着席定員を増やしています。

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 FUKURAMUのような現代的な新造車もある一方で,こんな車両も併用軌道上を走っているのが福鉄の面白いところ。元名古屋市交の610形。若干くたびれた車体に一昔前のタッチでお花とか描かれているので尚更ギャップを感じます。

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 ドア位置が高床ホームの大型車両が併用軌道内で客扱いをするのも福井鉄道特有の光景ですね。

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 単行運転でやってきたのは元名古屋市交の600形。福井鉄道ではかつてこのような大型車のみで運転されていましたが,2006年のLRT化による元名鉄車の導入で大型車の運転はラッシュ時のみとなりました。しかしこのような経緯から多様な車両が併用軌道を見れるという点で趣味的にかなり面白い鉄道であると思います。

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 バリアフリー?なにそれおいしいの?と言わんばかりの怒濤の3段ステップ。開扉と同時に展開されるこのステップも福鉄特有の光景ですが,F1000形の導入とともに大型車両は淘汰されていくようです。

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 この600形電車に乗車。田原町に向かいえちぜん鉄道も見に行きました。

(つづく)

京福/福鉄バス ドリーム福井1号(2号車) 東京駅八重洲口→福井駅前

乗車日:2016.5.27

 5月下旬,福井の鉄道を探訪。その際,福井到着後朝早くから行動したかったため夜行高速バスを利用することにしました。乗車したのは東京~福井間唯一の夜行バスであるドリーム福井号です。このドリーム福井号,東京=福井間という旅客移動量の小さい都市間ながら,新幹線駅や航路がなく,時間がかかっても直通で利用したいという需要があるようで昼行1往復・夜行2往復と比較的本数が多くなっています。

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 さてこの日は金曜日。東京駅八重洲口高速バス乗り場は賑やか。夜行列車が減少している一方で夜行高速バスは拡大の一途であり,この東京駅八重洲口高速バス乗り場からはピーク時5分~10分間隔で空港や関東郊外への近距離路線のほか全国各地へ向かう夜行バスが発着しています。

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 この日乗車するのは22:10発,福井行きの「ドリーム福井1号」。京福バス(黄色)と福鉄バス(青色)の2台体制での運転。

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 バスターミナルの隣り合うようにして乗降を扱うドリーム福井号。

 今回は福鉄運行の2号車に乗車しました。……というか,予約したのが前日夜だったので空席が2号車にしかありませんでした。

 車内はフルリクライニングの3列シートで一般的な高速バスの環境。とはいえコンセントなUSBポート等の備えはなく,携帯電話利用の場合はモバイルバッテリー等が必要です。

 このドリーム福井号,夜行バスに乗り慣れた私でも「あれ?」と思うところが2点ありました。まず乗車した2号車がバスタ新宿での乗車扱いをせず通過した点。これはおそらくバスタ新宿のキャパシティの問題なんだろうと思います。

 そして開放休憩となる足柄SAでは案内やドアの開扉がなく,旅客の申し出でようやく外に出られましたが,最低限のトイレ休憩と飲み物の確保のみの時間しか与えられず5分間ほどの停車に留まったこと。2人運行なので乗務員交代と車両点検ができればよいという判断なのかもしれませんが,体をほぐすためにも10分~15分ほどの休憩は欲しいところです。

 バスタ新宿の通過と足柄SAの短時間休憩のおかげで定刻より30分以上早く発車したバスでしたが,福井には定刻通り到着。どこかしらで長時間停車があったはずですが,足柄発車後から福井まで寝てたので真相は闇の中です。

関東バス 湾01系統急行 吉祥寺~お台場直行バス に乗ってみた

乗車日:2016/04/24

 都内城西地区に運行エリアを持つ関東バスでは,「吉祥寺~お台場直行バス」という急行バスが運行されています*1。土日のみ運転ですが,吉祥寺および高井戸から首都高速を経由して台場へ乗換なしでアクセスできるという触れ込みです。

 お台場へ所用があったため,この急行バスに乗車してみました。

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 「吉祥寺~お台場直行バス」は吉祥寺駅北口のバス乗り場に出たすぐのところにある3番のりばからの発車です。上石神井方面などのバスが絶えず発車していくバス乗り場にその合間をぬって入ってきます。

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 「吉祥寺~お台場直行バス」こと湾01系統がやってきました(写真右)。通常の路線バス車両を使用しているように見えますが,車内は高速道路走行に対応したシートベルト付きの座席が配されています。乗車時に降車バス停を申告して運賃を支払いますが,降りるバス停は台場駅付近の「ホテルグランパシフィック・ル・ダイバ」か「大江戸温泉物語」の2択で,どちらも同じ運賃です。

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 バスは吉祥寺駅から高井戸駅を経由して永福から首都高速へ。制限速度遵守の60kmでのんびり走行。レインボーブリッジをわたってフ○テレビがみえきたらまもなく台場。

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 終点の大江戸温泉物語で下車。下車時に運転手より大江戸温泉物語の割引券を頂きましたが,今回は温泉利用ではなかったので使いませんでした…。

 バスは午前午後それぞれ1往復の合計2往復運転。午後の台場行きということで,この日は吉祥寺から乗った2人が大江戸温泉物語まで乗り通しただけでした。

 

 珍しい首都高速経由の路線バスですが,なぜこのような路線があるのか。吉祥寺~お台場直行バスと吉祥寺~台場間のJR+ゆりかもめ利用の場合の比較をしてみます。

  JR+ゆりかもめ:運賃 710円 約1時間(乗換時間含む) 乗換2回

  吉祥寺~お台場直行バス:運賃860円 約1時間10分 乗換なし

 このように,東京城西地区と臨海エリアの鉄道アクセスは良くありません。そこで乗り換え無しで台場に行きたいといった潜在的需要に応えた路線になっているようで,数回の乗換の煩わしさと快適性を考えればこの路線バスはかなり便利なものになっています。ただ,吉祥寺~お台場直行バスは台場側の停留所が2箇所しかなく,台場に着いてからのアクセスがあまり良いとは言えなさそうな感じもします。

台湾鉄道一周ひとり旅(6) 高雄捷運環狀輕軌(高雄ライトレール)に試乗する

訪問日 2015.11.17

前回の記事の続き

次の目的地は台湾初の路面電車でかつ開業前の試乗運行が行われている高雄ライトレールの乗車。運行区間は高雄市南部の一部区間で,試乗運行区間へのアクセスは高雄捷運紅線の凱旋(Kaixuan)駅で乗換え。高鐵を降りて左営から紅線に乗車しまずは凱旋駅を目指します。

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 高雄捷運紅線は2008年に開通したばかりの比較的新しい鉄道。構内は密閉型のホームドアが設置され,バリアフリーも充実していてかなり現代的な設備になっています。

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 そんな高雄捷運ですが高捷少女という萌えキャラを公式に持っていて*1車内や駅構内の啓発ポスターに積極的に萌えキャラが使われています。高雄捷運は「萌えにも寛容そうな台湾」という自分の勝手なイメージにピッタリw

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 駅構内飲食禁止のポスター。同内容のポスターですが左右で全くイメージが違います。

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 凱旋駅の構内にも等身大の二次元お姉さんによる案内が。

 凱旋駅では交通系ICカードである一卡通(イーカートン)を購入。同様のICカードである悠遊卡を既に持っていましたが,日本のSuicaが東日本中心でICOCAが西日本中心のように,台湾でも交通系カードの利用可能エリアがあり,一卡通は台湾南部を中心に通用しています。そして今回の高雄ライトレールの試乗ではこの一卡通の使用が必須でした。

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 凱旋駅を出てすぐのところにライトレール乗車駅までの送迎バス乗り場のテントが出ていました。今回の旅行で初めての大都市訪問となりましたが,やはりバイクの多さに圧倒されます。

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 帰りに撮った写真ですが,前面表示に「輕軌 試営運」(ライトレール試験運行),「免費接駁車」(無料送迎バス)とあるようにライトレールの駅まで無料で乗車できます。高雄市バスの運行会社のひとつ,漢程客運による運行。

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 高雄ライトレールの起点,籬仔内(Lizinei)駅に到着。ここからライトレールに乗車します。試験運行では基本的に乗車の予約をした人のみが乗車できますが,席が空いていれば予約なしでも乗車できます。平日午後で空いていたせいか,係員に特に声をかけられることなく乗車できました。

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 高雄ライトレールは高雄臨港線の転用であることから専用軌道を有していて,軌道は緑化され街路樹の立ち並ぶ沿線に調和しているように見えます。またなんといってもこの架線の無いすっきりとした景観。停車中に駅構内にあるわずかな架線から集電し,走行中は蓄電池を利用する方式になっています。架線レスの路面電車は世界初なんだとか*2

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 発車まで時間が有ったので車両回りを適当に撮影。車両はCAF製。といってもまったく存じないメーカーですが欧米向けの鉄道車両を製造しているスペインのメーカーのようです。

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 ちなみに試乗運行に使用される車両は2編成あるようで,片方は魔法少女iPass*3の小帕ちゃんやデフォルメされた高雄市長のラッピングがされていて,「車内かホームでICカードをタッチしてね!」とか「乗車する時はボタンを押してください!」なんて書かれています。路面電車の無かった台湾ではICカード簡易改札も半自動ドアも無かったんじゃないでしょうか。私も乗り込む時にドアが閉まっていて固まっていたら係員に「ボタンを押して開けてください」と案内され乗り込むことができました。なお今回はラッピングされていないほうの車両が試験乗車用となっていました。

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 車内はこんな感じ。車両は5連接で1編成の車体長は34.6mとなっていて、かなりの輸送力があります。広島電鉄グリーンムーバーなどは同じ5連接でも30m程度の車体長なのでそれより長いことになります。座席配置は”非”字とロングシートのみのミックス。列車は動き出すとかなりの加速度でぐんぐん速度を上げてあっという間に最高速度の50kmで走行。揺れもすくなく快適でした。ただ,道路との交差部分に警報機はあっても遮断機はなく係員が交通整理をしている状況で,バイクや自動車の直前横断も頻発。道路を横断する際はかなり徐行していました。

 籬仔内から4駅先の凱旋中華まで行ったところで折返し。体験乗車なので折返し地点での下車は不可でした。ここで乗降できれば紅線の凱旋駅にかなり近くて便利なのですが(苦笑)。

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 高雄ライトレールは現在も本格的な運行に至っていませんが,2016年中にはさらに試験運行区間が拡がるようで今後の動きに期待したいところ。ただ,先述したように台湾で初めてとなる路面電車なので,バイクが非常に多い高雄の交通事情を加味したうえで慎重な安全対策も必要かなと感じられます。 

 このあとは瑞豊夜市などを散策して市内のドミトリー泊。

(諸事情により台湾編はこの記事を以って更新終了とします)