きっぷ片手に旅をする

公共交通利用が中心の旅行記がメイン。月3回程度のペースで定期更新中。

多彩な姿を見せる福井の鉄道(1) ――福井鉄道

訪問日:2016.5.28

 前のページで福井行きのバスに乗ったのは,福井市を中心に運行される鉄道の訪問にありました。率直に申し上げて福井の鉄道はいま面白いことになっています。福井県や市では自動車に過度に依存しない持続可能なまちの実現を目指し*1,公共交通網の見直しと様々な施策を実施していて,中でも福井鉄道えちぜん鉄道の直通運転が実施されたことは特筆すべきところです。もともと福井鉄道はインターアーバンの代表格的な運行スタイルを持っていて,福井市中心部では併用軌道を,郊外では鉄道線でもって高頻度運転を行っていました。直通運転によってえちぜん鉄道もその運行スタイルを持ち合わすことになり,福井市では多彩な姿を見せる福井の鉄道を見ることが出来ます。

f:id:ashizin:20160608225904j:plain

  巨大な恐竜のオブジェクトが圧巻な福井駅西口。北陸新幹線福井延伸を見据えて駅前再開発が進んでいて,2016年3月27日には福井鉄道支線(通称ヒゲ線)が西口広場に乗り入れました。

f:id:ashizin:20160608230333j:plain

 JR福井駅をバックに”福井駅”駅を出発する福鉄電車。この乗り入れにより雨に濡れること無くJRとの乗り換えができ,利便性が向上していると思われます。

f:id:ashizin:20160608230832j:plain

 まだ朝早くなので市役所前駅付近で撮り鉄を続けてみます。福井鉄道は地方私鉄ながら急行運転も行っています。足羽川に架かる幸橋を渡り市役所前駅へ向かう元名鉄岐阜市内線の880形。

f:id:ashizin:20160608231404j:plain

 急行のほかにも区間急行も。併用軌道をもつ事業者で複数の列車種別を持っているところってかなり珍しい部類かと思います。急行・区間急行ともに併用軌道内での急行運転は行いませんが。

 福井駅への支線は市役所前駅の田原町方からしか入ることができず,写真の区間急行越前武生行きのような福井駅→武生方面の列車は福井駅を発車して市役所前の田原町方面のホームに入ってエンド交換をしてから越前武生方面のホームに入ってきます。武生方面→福井駅の列車も逆のことをします。

f:id:ashizin:20160608231721j:plain

  2013年に鳴り物入りで新造されたF1000形"FUKURAM"。福井の公共交通利用促進に一役買うと期待されているLRVで,乗降時のステップを失くしたバリアフリー仕様かつえちぜん鉄道への直通もできる優れものです。この列車も田原町からえちぜん鉄道に乗り入れて福大前西福井までの運行。

f:id:ashizin:20160609220253j:plain

 別のタイミングで撮影したF1000形"FUKURAM"の車内。座席配置は海外に多い”非”字に近く,着席定員を増やしています。

f:id:ashizin:20160608232234j:plain

 FUKURAMUのような現代的な新造車もある一方で,こんな車両も併用軌道上を走っているのが福鉄の面白いところ。元名古屋市交の610形。若干くたびれた車体に一昔前のタッチでお花とか描かれているので尚更ギャップを感じます。

f:id:ashizin:20160608232433j:plain

 ドア位置が高床ホームの大型車両が併用軌道内で客扱いをするのも福井鉄道特有の光景ですね。

f:id:ashizin:20160608234115j:plain

 単行運転でやってきたのは元名古屋市交の600形。福井鉄道ではかつてこのような大型車のみで運転されていましたが,2006年のLRT化による元名鉄車の導入で大型車の運転はラッシュ時のみとなりました。しかしこのような経緯から多様な車両が併用軌道を見れるという点で趣味的にかなり面白い鉄道であると思います。

f:id:ashizin:20160608234125j:plain

 バリアフリー?なにそれおいしいの?と言わんばかりの怒濤の3段ステップ。開扉と同時に展開されるこのステップも福鉄特有の光景ですが,F1000形の導入とともに大型車両は淘汰されていくようです。

f:id:ashizin:20160608234403j:plain

 この600形電車に乗車。田原町に向かいえちぜん鉄道も見に行きました。

(つづく)