きっぷ片手に旅をする

公共交通利用が中心の旅行記がメイン。月3回程度のペースで定期更新中。

風っこそうや3号 宗谷本線の旅

 

 JR 北海道が2019年7月27日から9月8日まで,JR 東日本所有の「びゅうコースター風っこ」を借り入れて宗谷本線にて「風っこ そうや」号を運転しました。7月27日から8月12日までの土日が稚内音威子府,8月17日から9月8日までの土日が旭川音威子府間での運転です。

 先日北海道へ旅行に行った際に「風っこそうや」にも乗車してきました。旭川音威子府間の3号・4号です。今回は3号についてレポートします。

風っこそうや 3号 旭川音威子府

表 風っこそうや3号
主要駅時刻表
駅 名 時 刻
旭 川 07:18発
和 寒 08:25着
09:10発
剣 淵 09:25着
09:46発
士 別 10:00着
10:26発
美 深 11:32着
11:40発
音威子府 12:26着
(折返 13:00発)

 風っこそうや3号は旭川から音威子府まで5時間以上かけて走行します。旭川音威子府間は約130km,表定速度にして約26km/hという鈍足です。最高速度が40kmに制限されているほか,途中駅で30分前後の長時間停車が複数あるためです(表)。今回,特急でいちどしか乗ったことがない宗谷本線をのんびり味わってみたいと思って指定券を取りましたが,乗車直前になって片道で5時間かかる同列車で退屈しないかという不安もありました。

f:id:ashizin:20190901220524j:plain

風っこそうや3号

 風っこそうやは先頭車両が「北海道の恵み」車両で,「びゅうコースター風っこ」はそれに挟まれた形になっています。「恵み」車両は雨天時用のフリースペースとなっていますが,全区間で「風っこ」車両に乗車できます。

f:id:ashizin:20190901221343j:plain

「風っこ」の車内

 旭川から「風っこそうや 3号」に乗車。しばらくはコンクリートの高架線をゆっくりと走っていきます。旭川都市圏を抜けるとすぐに緑いっぱいの平原へ。そんな車窓を,まさに風にあたりながら楽しみます。

f:id:ashizin:20190901221732j:plain

剣淵駅で21分停車。上下特急を退避。

 風っこそうや3号は和寒・剣淵・士別・美深の各駅で,列車の到着に合わせて地元の方によるイベントが開催されます。剣淵では絵本の読み聞かせ,士別ではラム串の試食,名寄からは美深の地元サーカス団が乗車してきて車内でパフォーマンスを行う*1など,ユニークな出し物もありました。

f:id:ashizin:20190901222347j:plain

士別ではラム串の試食

 停車時間も30分前後あるので,軽く街歩き的なこともできました。これらの駅は東京住みが道内旅行をしに行ってもなかなか降りる機会の少ない駅です。たっぷりの停車時間とイベントのおかげで,ただ乗り通すだけではわからなかった宗谷本線の沿線の街を知ることができ,乗車前の不安から一転,「風っこそうや」で車窓を楽しむこと以上に刺激的な体験となりました。

f:id:ashizin:20190901222725j:plain

風っこそうやの車窓(4号で撮影)

 窓のない「風っこ」車両で,北海道のひんやりした風を浴びながら開放的な大地を見て,たまに停まる駅では地元からのおもてなしを受けてその駅の街を少し知ることができる。「風っこそうや」はそんな素晴らしい列車でした。

 ただこの日は天気が悪く,雨が車内に入ってくることもままあり,天候によっても満足度が変わりそうな列車だと感じました。また,木製ベンチの座席ゆえ,いくら途中駅でイベントがあるとはいえ,5時間も乗っていると腰がくたびれてきます。音威子府からは列車ダイヤ的に旭川方面に折り返すほかなく,帰りは4号で名寄まで戻ったあと先発する快速「なよろ」で早めに旭川まで戻りました。

  車内で JR 北海道の社員が配布していたアンケートにも記載しましたが,このような列車は JR 北海道の増収を図る上でも,北海道の大地を知るうえでもあったら良い列車です。JR 北海道では厳しい環境の中,東急のリゾート列車を走らせるなどチャレンジングな施策を行っていますので,今後の動きにも注目していこうと思います。

*1:8月25日,8月31日のみ