きっぷ片手に旅をする

公共交通利用が中心の旅行記がメイン。月3回程度のペースで定期更新中。

JR東海「みんなで花博レッツ」号 乗車レポート

 2024年4月14日の一日限りで,臨時快速「みんなで花博レッツ」号が東海道線三島→舞阪間で運転された。

 この列車は当日舞阪駅出発のさわやかウォーキングの送客を目的とした列車であるが,気になったのはその列車名。列車名は「みんなで花博レッツ」であるが,号まで入れてレッツゴーと言わせていて,笑いを取りに来たような名前になっている。

列車名 三島 *1 舞阪 使用車両
みんなで花博レッツ 07:45 10:13 373系3両

みんなで花博レッツ号 時刻表

みんなで花博レッツ号 指定席券

 東海道新幹線と完全に並行する三島から舞阪までの約150kmというやや長距離を走る在来線の臨時快速列車ということで,少し興味があった。行き先も浜名湖花博なので嫁を誘いやすい。嫁には新幹線よりお得に乗れる列車だと説明して*2,乗車してきた。

みんなで花博レッツ号 三島→舞阪

みんなで花博レッツ号@舞阪駅

みんなで花博レッツ号のヘッドマーク

 三島駅から「みんなで花博レッツ」号に乗車する。車両は静岡地区の臨時列車ではおなじみの373系だが,ヘッドマークはシール式の専用のものが装着されている。JR東日本などでは1日限りの臨時列車で専用のヘッドマークを用意することなどは少なくなってきたが,静岡地区ではまだ健在だ。

みんなで花博レッツ号の車内

 車内へ。臨時快速ながらヘッドカバーが装着されているほか,コンパートメント席は花博のポスターや生け花が展示されていた。373系の臨時列車では,コンパートメント席はイベントスペースとして活用されることが多くなった。

 座席には花博のパンフレットのほか,JR東海からの臨時快速の運行に関するアンケートもあった。アンケートの内容は臨時列車に乗った回数や行き先,さわやかウォーキングの参加回数など。JR東海はコロナ禍以降さまざまなイベントごとに手を出しており,次の手は何かないかと模索しているかのように感じるアンケートだった。

みんなで花博レッツ号の乗車証明書

 静岡発車後に,乗車証明書や乗車記念の花の種などが配られた。乗車証明書はD型硬券風のもの。指定席券のみで利用できる列車のわりには,かなり手が込んでいる。

 列車は時速100km弱で西へ。途中の由比で同じ373系特急「ふじかわ」を退避した以外は,俊足で駿河の国を駆けていく。とはいえ沼津から浜松までの停車駅は平日運行の「ホームライナー」と同じであり,あまり新鮮さは無い。そういった意味では,花博のパンフレットやポスターで花博の事前準備ができたことや,乗車証明書などがあったことはいかにも臨時列車感があって良かった。

 なお,車内は多くが「その手」の人たちで,ウォーキングに出かけそうな人は少なめであった。私は舞阪駅到着後,ウォーキングはせずシャトルバスで花博会場である浜名湖ガーデンパークへ向かった。

ashizin.hatenablog.com

ashizin.hatenablog.com


鉄道ブログを見るならこちらをクリック▼

*1:この間停車駅:三島,沼津,富士,清水,静岡,藤枝,島田,菊川,掛川,袋井,磐田,浜松

*2:なお新幹線より所要時間は数時間長い

感動のさよなら放送。特急「ダイナスター」4号ラストラン乗車記

 2024年3月16日の北陸新幹線(金沢~敦賀)延伸開業により,北陸本線を走る「サンダーバード」「しらさぎ」は敦賀までの運転,「ダイナスター」などは運行終了となった。

 私はこの前日の15日に,最後の北陸特急乗車と最初の北陸新幹線乗車を目的に,金沢を訪問した。鉄道マニア歴はそれなりに長いが,私が列車のラストランを見に行くのは寝台特急「富士」「はやぶさ」以来である。今回の北陸新幹線敦賀延伸のあと,新幹線の新規開業はリニア中央新幹線北海道新幹線幌延伸くらいまで無さそう。北陸特急には思い入れもあるし,まあ行ってみるかと思ってみた次第である。

熱気にあふれる北陸本線金沢駅

 2024年3月15日の夜。ホテルから出て金沢駅へ。私が乗車するのは最終運行となる特急「ダイナスター」4号福井行きである。

金沢駅にある北陸本線へのメッセージカード

 金沢駅に到着する直前に金沢から大阪へ直通する最後の特急「サンダーバード」50号が発車していったこともあり,北陸本線金沢駅の最期を見届けようというマニアの熱気で溢れている。

たくさんの人に見送られる「おやすみエクスプレス」

 特急「おやすみエクスプレス」敦賀行きが発車していく。次に入ってくる列車が特急「ダイナスター」4号。この列車が最後に金沢駅を発車する北陸本線の特急列車だ。

特急「ダイナスター」4号 金沢→福井

 特急「ダイナスターは金沢~福井間を朝夕のみ運行する短距離の特急列車だ。2015年の北陸新幹線金沢延伸開業に伴い,越後湯沢~福井間を運行する在来線特急「はくたか」の金沢以西を代替する列車として登場した。そして2024年,北陸新幹線敦賀延伸開業に伴って廃止される。北陸新幹線の延伸開通とともに運命を共にした列車である。

ダイナスターのラストランを表示する発車標

 「おやすみエクスプレス」が発車後,駅の発車標に特急「ダイナスター」4号が表示される。この発車標が北陸本線を表示することもあとわずかということで,かなり多くの人がこの発車標を撮影していた。特急「ダイナスター」の発車案内には,こんなメッセージが添えられていた。

北陸新幹線金沢開業とともに運転を開始した特急ダイナスター号は、本日をもって運転終了となりその役割を北陸新幹線のつるぎ号に引き継ぐこととなります。今までのご利用ありがとうございました!

多くの人に見送られる特急「ダイナスター」4号

 やがて金沢駅に特急「ダイナスター」4号が入線してきた。乗車まで10分ほどあるので,反対側のホームからなんとか撮影。いろいろな画角で撮ってみたが,引きの構図で最終日で多くの人に撮影される様子をアップしてみる。

特急「ダイナスター」9号車自由席

 特急「ダイナスター」は通常6両編成であるが,この日は米原方に3両増結された9両編成で運転された。事前に予告がほとんど無かったため,自由席目当ての乗客は通常の5号車・6号車に乗車しており,増結された7号車~9号車はラストランにも関わらず空席多数となっていた。

特急「ダイナスター」4号に乗車

 発車時刻が近づいてきたので特急「ダイナスター」4号に乗車する。今回乗車するのはグリーン車である。この日の特急「ダイナスター」4号は普通車・グリーン車ともに指定席は満席であった。

 金沢駅のホーム上にある乗車案内からはすでに「サンダーバード」「しらさぎ」の列車名が消えている。

グリーン券と記念乗車証 / まもなく終点福井駅

 列車は定刻で金沢駅を発車し,一路福井へ。この日は車掌が3名乗車していて,うち1名は移管されるハピラインふくいの制服を着用して乗務されているとのこと。乗車していたグリーン車まで巡回に来ることは無かったが,移管直前らしい風景だっただろう。

 車掌から記念乗車証をいただくついでに,特急券に入鋏していただく。乗務員が所属する福井運転センターはこの日をもって廃止となるので,このスタンパが使われるのもこれが最後だろう。

 特急「ダイナスター」4号は軽快に北陸本線を走り,最後の途中駅である芦原温泉駅を発車。発車後,約7分にもわたるさよなら放送が行われた。このさよなら放送がかなり感動的だったので,ここに文字起こしをしてみる。

 あと9分ほどのご乗車で,このラストラン列車は終点福井に着きます。
 特急「ダイナスター」号は,2015年3月14日の北陸新幹線金沢開業にあわせ,金沢から福井駅間の朝と夜の時間帯に,通勤・通学の列車として,また北陸新幹線との連絡列車としての使命を持ち,本日まで9年間,運転をしてまいりました。
 ここ数年は自然災害による輸送障害が多く発生し,福井エリア豪雨災害で北陸線の線路が流された際や,自然災害などで「サンダーバード」号「しらさぎ」号が運休になった場合などの代替列車として,急遽,臨時列車としての使命を担うこともありました。また,運転できる範囲に応じて,ときには敦賀行きとして運転するなど,臨機応変な運転を行ったことから,救済臨という別名もありました。
 「ダイナスター」号の名前の由来は,福井方面へのアクセス列車ということから,福井県の観光資源・恐竜の英訳「ダイナソー」と,地元の期待の英訳「スター」の英訳を組み合わせたところから来ています。長距離列車のような華やかさはありませんでしたが,地域に期待され,主に地元の足として,多くの方に愛されご利用いただいたこの特急列車も,明日からはその役目を北陸新幹線IRいしかわ鉄道・ハピラインふくいに引き継ぎます。運行に携わったグループ会社を含めた関係者,すべての社員を代表して,お礼を申し上げます。長らくのご愛顧,誠にありがとうございました。
 いままで1日2往復,このダイナスター号の乗務を担当していた金沢列車区と福井運転センターの乗務員も,職場がIRいしかわ鉄道・ハピラインふくいに移管されるため,JRに残る者も含め,それぞれが別の進路に進むこととなります。本日この列車を担当させていただいた車掌が所属する福井運転センターも,明日からはハピラインふくい運転管理センターへと生まれ変わります。本日運転を担当させていただいた私も,この列車の乗務を終えたあとは職場に戻り,JR西日本乗務員として最後の乗務報告を行い,明日からはハピラインふくいの制服を着ることとなります
 皆様に愛されたこの北陸線に乗務した誇りを胸に,乗務員一人ひとりが,それぞれの職場で引き続き乗務して参りますので,明日からも北陸新幹線IRいしかわ鉄道・ハピラインふくいのご利用をどうぞよろしくお願いいたします。

(中略)

 ご乗車ありがとうございました。まもなく,このラストラン列車は,終点福井に着きます。お出口は右側です。乗り換えのご案内をいたします。

(中略)

 北陸新幹線金沢開業と同時に運行を開始したこの「ダイナスター」号ですが,運行開始してから9年間,私の記憶の中ではこんなに多くのお客様にご利用いただいたのは初めてと思います。先程も申し上げましたが,ダイナスター号は運転する時間帯が朝と夜ということもあり,金沢と福井エリアをつなぐ,地域密着型の特急列車でしたので,華やかな話題が多い観光型列車とは違う使命をもつ列車でした。
 終点福井の到着をもちまして無事に役目を終えようとしていますが,最後の最後にこんなにもの多くのお客様にご乗車いただきお見送りいただけていることに,乗務員一同,心からお礼を申し上げます。この68ろっぱー系列車が北陸線金沢から敦賀駅間を走行することはもうありませんが,明日から大きく変わる北陸エリア・福井エリアにどうぞご期待ください。

 きょうもJR西日本特急「ダイナスター」号をご利用いただきましてありがとうございました。まもなく終点福井に着きます。お出口は右側です。

 特急「ダイナスター」号の生い立ちと,北陸新幹線に役割を引き継いだ後のこれからについて,そして特急「ダイナスター」と乗客への感謝を込めた素晴らしいスピーチで,放送に耳を傾けていて私は思わず涙腺が緩んでしまった。隣に座っていた乗客の方も同様に涙ぐんでいた。放送していた車掌も少し涙声になっていた。

福井駅に到着。列車はそのまま西へ

 特急「ダイナスター」4号は無事に福井駅に到着。とてもすがすがしい気持ちで福井駅に降り立った。


鉄道ブログを見るならこちらをクリック▼

「乗継割引」全乗継駅のきっぷと乗継割引適用可能列車一覧(2024年3月15日まで)

 今回の記事では,前回取り上げた新幹線と在来線特急列車の「乗継割引」(以下,「乗継割引」)について,2024年3月15日時点で設定が残っていた接続駅ごとに,乗継割引が適用された料金券のサンプルをアップする。また,乗継割引適用可能だった列車の一覧を記事の後半に記載する。

 乗継割引とは何ぞや?という方は下記の記事をご覧いただきたい。

ashizin.hatenablog.com

 なお,「乗継割引」は2024年3月16日にすべて廃止されているため,現在これらのきっぷは発券することができないことに注意してほしい。

乗継割引全乗継駅ごとのきっぷ

 乗り継ぎ割引が適用できた特急券のサンプルとして,私の手元のきっぷコレクションの中から,なるべく最近のものをアップする。また,新幹線側の特急券と乗車券は省略する。  

新函館北斗駅乗り継ぎ

新函館北斗駅で乗継割引が適用された「ニセコ」号特急券

 新函館北斗駅乗り継ぎでは,主に特急「北斗」(函館~札幌)に乗継割引が適用できた。

 筆者の手持ちでは新函館北斗乗り継ぎでは臨時特急「ニセコ」号(函館~ニセコ~札幌)の特急券しか無かった。

新青森乗り継ぎ

新青森駅で乗継割引が適用された「つがる」のB自由席特急券

 新青森駅乗り継ぎでは,特急「つがる」(青森~秋田)に乗継割引が適用できた。

 画像は「つがる」を自由席利用したときのB自由席特急券である。

長岡駅乗り継ぎ

長野駅で乗継割引が適用された「しらゆき」自由席特急券

 長岡駅乗り継ぎでは,特急「しらゆき」(新潟~上越妙高)に乗継割引が適用できた。

 画像は「しらゆき」を自由席利用したときの自由席特急券である。

新潟駅乗り継ぎ

新潟駅では新幹線と在来線特急列車が同一階層で乗り換えられる設計になっている

新潟駅で乗継割引が適用された「いなほ」自由席特急券

 新潟駅乗り継ぎでは,特急「いなほ」(新潟~酒田・秋田)や特急「しらゆき」(新潟~上越妙高)に乗継割引が適用できた。

 画像は「いなほ」を自由席利用したときの自由席特急券である。

長野駅乗り継ぎ

長野駅で乗継割引が適用された「しなの」特急券

 長野駅乗り継ぎでは,特急「しなの」(名古屋~長野)に乗継割引が適用できた。

直江津駅上越妙高)乗り継ぎ

直江津駅で乗継割引が適用された「しらゆき」自由席特急券

 直江津駅乗り継ぎでは,直江津駅から上越妙高駅に直通する特急・急行列車に乗車し,上越妙高駅で新幹線に乗り継ぐ場合に,乗継割引が適用できた。具体的には,特急「しらゆき」(新潟~上越妙高)で柿崎以西から乗車し,上越妙高で新幹線に乗り継ぐ場合に,「しらゆき」に乗継割引が適用できた。これは特急列車が走る直江津駅上越妙高駅えちごトキめき鉄道(社線)のためである。

 画像は「しらゆき」を自由席利用したときの自由席特急券である。

金沢駅乗り継ぎ

金沢駅で乗継割引が適用された「しらさぎ特急券

 金沢駅乗り継ぎでは,特急「サンダーバード」「しらさぎ」「能登かがり火」「花嫁のれん」など,金沢駅を発着する多数の特急列車に乗継割引を適用することができた。

津幡駅(金沢)乗り継ぎ

津幡駅で乗継割引が適用された「サンダーバード特急券

 津幡駅乗り継ぎでは,津幡駅から金沢駅に直通する特急・急行列車に乗車し,金沢駅で新幹線に乗り継ぐ場合に,乗継割引が適用できた。具体的には,特急「能登かがり火」などで宇野気以北から乗車し,金沢で新幹線に乗り継ぐ場合に,「能登かがり火」など在来線特急列車に乗継割引が適用できた。これは特急列車が走る津幡~金沢間がIRいしかわ鉄道(社線)のためである。

横浜駅乗り継ぎ

横浜駅で乗継割引が適用された「はまかいじ特急券

 新横浜駅乗り継ぎでは,2024年3月時点で乗継割引適用可能な定期列車は存在しなかった。参考までに,こちらは2019年1月まで運行されていた特急「はまかいじ」(横浜~新横浜~八王子~松本)で乗継割引を適用した特急券。「はまかいじ」運行終了以降は,臨時列車を含めて乗継割引が適用できる列車の運行は無かった。

小田原駅乗り継ぎ

小田原駅で乗継割引が適用された「小田原・甲斐国特急券

 小田原駅乗り継ぎでは,2024年3月時点で乗継割引適用可能な定期列車は存在しなかった。小田原に停車する「踊り子」などは2020年から乗継割引対象外の列車となっている。

 ただし散発的に臨時特急列車が運転されたことがあり,「小田原・甲斐国」などは乗継割引対象外の列車ではなかったため,乗継割引が適用できた。

ashizin.hatenablog.com

 

乗継割引が適用された「踊り子」B自由席特急券

 こちらは2020年まで乗継割引が適用できた「踊り子」の特急券。筆者の実家の最寄り JR 駅のひとつが小田原駅だったため,東京から小田原まで特急「踊り子」に乗って実家に帰り,小田原から東京に新幹線で戻るということをよくしていた。当時は乗継割引がなくなるとは思わず,指定席特急券の手持ちがほとんど無いのが悔やまれる。

熱海駅乗り継ぎ

乗継割引が適用された「サンライズ出雲特急券

 熱海駅乗り継ぎでは,特急「サンライズ出雲」(東京~出雲市)「サンライズ瀬戸」(東京~高松)に乗継割引を適用できた。乗継割引は特急券のみの適用のため,寝台料金は割引されない。新幹線から熱海駅で「サンライズ出雲」「サンライズ瀬戸」で乗り継ぐと特急料金が安くなるというのはよく知られた技であった。

 私は実家から「サンライズ」に乗車するときは,最寄りの小田原駅に「サンライズ」が停まらないため熱海駅まで行くのだが,小田原~熱海間を普通列車ではなく新幹線に乗ったほうがトータルで安くなるという不思議な現象が起きていた。

 なお,熱海駅を通過する「踊り子」は2020年から乗継割引適用対象外の列車となっている。

三島駅乗り継ぎ

 三島駅乗り継ぎでは,2024年3月時点で乗継割引適用可能な定期列車は存在しなかった。なお,三島駅に停車する「踊り子」は2020年から乗継割引適用対象外の列車となっている。

 

三島駅で乗継割引が適用された「踊り子」自由席特急券

 こちらは2020年まで乗継割引が適用できた「踊り子」の自由席特急券。「払戻申出」を行っているが,手元に残っているとおりなぜか払い戻しはされていない。マルス券の乗継割引が適用できた「踊り子」特急券は探してみたところこれだけであった。「踊り子」はよく利用していたのだが,三島をスルーして修善寺方面に行くことが多かったので,買う機会が少なかったのかもしれない。

三島駅で乗継割引が適用された「踊り子」特急券
品川~熱海間でグリーン車を利用。

 こちらは同じく乗継割引が適用された「踊り子」の特急券。品川~三島間を乗車するが,修善寺行きの編成にグリーン車が連結されていないため,熱海まで併結する下田行きに連結されているグリーン車を熱海まで利用している(いわゆる修善寺グリーン)。当時はマルス対応しておらず,料金補充券での発券となっていた*1。手書きで記事欄に「乗割」と書かれている。

静岡駅乗り継ぎ

静岡駅で乗継割引が適用された臨時急行「ラブライブ!サンシャイン!!急行券・指定席券

 静岡駅乗り継ぎでは,主に特急「ふじかわ」(静岡~甲府)に乗継割引が適用できた。

 私の手持ちには「ふじかわ」の乗継割引が適用されたマルス券が無かったが,2023年に運行された臨時急行「ラブライブ!サンシャイン!!」号に乗車したときの急行券・指定席券があった。急行列車に乗継割引を適用する場合,急行料金と指定席料金が5割引となる。

ashizin.hatenablog.com

掛川駅乗り継ぎ

 掛川駅乗り継ぎでは,2024年3月時点で乗継割引が適用可能な定期列車は存在しなかった。

 臨時急行「ラブライブ!サンシャイン!!」や臨時急行「御殿場線80周年371」など,掛川駅に停車する臨時列車の運行実績はあったので,乗継割引の発券実績もわずかにあると思われる。掛川駅乗り継ぎは残念ながら手持ちがない。

浜松駅乗り継ぎ

浜松駅で乗継割引が適用された「サンライズ瀬戸特急券・寝台券

 浜松駅乗り継ぎでは,特急「サンライズ出雲」(東京~出雲市)「サンライズ瀬戸」(東京~高松)の下り列車のみが乗継割引適用可能であった。浜松駅到着が深夜1時すぎとなるため,新幹線からサンライズへの乗り継ぎはできず,サンライズから翌日の新幹線に乗る場合のみ乗継割引が適用できた。

 臨時列車を含めれば,臨時急行「ラブライブ!サンシャイン!!」や臨時急行「御殿場線80周年371」など,浜松駅に停車する乗継割引適用可能な列車の運行実績がある。

豊橋駅乗り継ぎ

豊橋駅で乗継割引が適用された「伊那路特急券

 豊橋駅乗り継ぎでは,特急「伊那路」(豊橋~飯田)に乗継割引が適用可能であった。

三河安城駅乗り継ぎ

 三河安城駅乗り継ぎでは,2024年3月時点で乗継割引適用可能な定期列車は存在しなかった。三河安城駅は普通列車しか停車せず,快速以上の列車は通過してしまうため,臨時急行・臨時特急列車が停車実績があるのかすら私の知る限りではわからない。もし,三河安城駅で乗継割引を適用できる列車の存在をご存知の方はコメントいただきたい。

名古屋駅乗り継ぎ

名古屋駅で乗継割引が適用された「しなの」特急券

 名古屋駅乗り継ぎでは,名古屋駅を発着する「南紀」「しらさぎ」「ひだ」「しなの」など多数の特急列車に乗継割引が適用可能であった。

米原駅乗り継ぎ

米原駅で乗継割引が適用された「しらさぎ特急券

 米原駅乗り継ぎでは,特急「しらさぎ」(名古屋~金沢)ほか,米原駅を発着する特急列車に乗継割引が適用可能であった。

京都駅乗り継ぎ

京都駅で乗継割引が適用された「スーパーはくと特急券

 京都駅乗り継ぎでは,京都駅を発着する「スーパーはくと」「はしだて」「はるか」等の特急列車に乗継割引が適用可能であった。京都駅を発着する特急列車のバリエーションがそもそも多いため,乗継割引適用可能な列車もかなり多い。

乗継割引が適用された「花嫁のれん」「サンダーバード特急券
金沢駅でラッチ内乗り継ぎ)

 京都駅に停車する「サンダーバード」等にも乗継割引が適用可能である。「サンダーバード」から七尾線を運行する特急列車に金沢駅で改札を出ないで当日中に乗り継ぐ場合は通しの特急料金となるため,「花嫁のれん」から「サンダーバード」に乗り継ぎ,京都駅で新幹線に乗り継ぐ場合も,「花嫁のれん」「サンダーバード」に乗継割引が適用可能であった。

新大阪駅乗り継ぎ

新大阪駅で乗継割引が適用された「まほろば」特急券

 新大阪駅乗り継ぎでは,新大阪駅を発着する「くろしお」「まほろば」等の特急列車に乗継割引が適用可能であった。

大阪駅(新大阪)乗り継ぎ

大阪駅で乗継割引が適用された「サンダーバード特急券

 新大阪駅から新幹線に乗り継ぐ場合に限って,大阪駅を発着する列車に乗継割引を適用できた。新大阪を通らない特急「はまかぜ」(大阪~鳥取)のような列車に大阪から乗車するとき,新大阪まで新幹線に乗車すれば乗継割引を適用するということを想定されていると思われる。

 制度上は列車の指定がないため,「はまかぜ」に限らず大阪に停車する「サンダーバード」等にも乗継割引は可能であった。

ashizin.hatenablog.com

西明石駅乗り継ぎ

西明石駅で乗継割引が適用された「らくラクはりま」特急券

 西明石駅乗り継ぎでは,特急「スーパーはくと」など西明石駅を発着する列車に乗継割引を適用できた。ただし通勤時間帯のみ停車のため,有効列車は少なかった。

姫路駅乗り継ぎ

姫路駅で乗継割引が適用された「サンライズ瀬戸特急券

 姫路駅乗り継ぎでは,特急「はまかぜ」など姫路駅を発着する列車に乗継割引を適用できた。また,「サンライズ出雲」「サンライズ瀬戸」が上下列車停車するため,熱海駅と同様にサンライズに乗継割引を適用させる駅としてよく知られていた。

相生駅乗り継ぎ

相生駅で乗継割引が適用された「スーパーはくと特急券

 相生駅乗り継ぎでは,特急「スーパーはくと」(京都~倉吉)で乗継割引が適用可能であるが,冬期間のみの臨時停車であった。

 「スーパーはくと」は多客期に2号車と3号車の間に増結車両を組み込み,増結車両は「まし2号車」として運行していた。「スーパーはくと」は3月のダイヤ改正で全車指定席となったが,「増2号車」は今後も多客期には使われるのだろうか?

乗継割引適用可能列車一覧(2024年3月15日まで)

 2024年3月15日まで「乗継割引」が適用可能であった新幹線・乗継駅・在来線特急列車のパターン表である。2024年3月15日現在の定期列車で運行されているもののみ記載した。在来線特急列車側で,改札内乗り継ぎにより別の列車に通しの料金で乗り継ぐことができる場合は,その列車も記載してある*2

 左右にスクロールして全部を表示可能。

北海道・東北・上越北陸新幹線と在来線特急列車

項番 新幹線 乗継駅 在来線特急1 乗換駅 在来線特急2
1 東北・北海道新幹線 新函館北斗 北斗
2 東北・北海道新幹線 新青森 つがる
3 上越新幹線 長岡 しらゆき
4-1 上越新幹線 新潟 しらゆき
4-2 上越新幹線 新潟 いなほ
5 北陸新幹線 長野 しなの
6 北陸新幹線 上越妙高直江津 しらゆき
7-1 北陸新幹線 金沢 サンダ-バ-ド
7-2 北陸新幹線 金沢 ダイナスタ-
7-3 北陸新幹線 金沢 おやすみEXP
7-4 北陸新幹線 金沢 おはようEXP
7-5 北陸新幹線 金沢 しらさぎ
8-1 北陸新幹線 金沢(津幡) サンダ-バ-ド
8-2 北陸新幹線 金沢(津幡) 能登かがり火
8-3 北陸新幹線 金沢(津幡) 花嫁のれん

東海道・山陽新幹線(新横浜~京都)と在来線特急列車

項番 新幹線 乗継駅 在来線特急1 乗換駅 在来線特急2
9 東海道・山陽新幹線 新横浜 (定期列車なし)
10 東海道・山陽新幹線 小田原 (定期列車なし)
11-1 東海道・山陽新幹線 熱海 サンライズ出雲
11-2 東海道・山陽新幹線 熱海 サンライズ瀬戸
12 東海道・山陽新幹線 三島 (定期列車なし)
13-1 東海道・山陽新幹線 静岡 サンライズ出雲(上り)
13-2 東海道・山陽新幹線 静岡 サンライズ瀬戸(上り)
13-3 東海道・山陽新幹線 静岡 ふじかわ
14 東海道・山陽新幹線 掛川 (定期列車なし)
15-1 東海道・山陽新幹線 浜松 サンライズ出雲(下り)
15-2 東海道・山陽新幹線 浜松 サンライズ瀬戸(下り)
16 東海道・山陽新幹線 豊橋 伊那路
17 東海道・山陽新幹線 三河安城 (定期列車なし)
18-1 東海道・山陽新幹線 名古屋 しなの
18-2 東海道・山陽新幹線 名古屋 しらさぎ
18-3 東海道・山陽新幹線 名古屋 ひだ
18-4 東海道・山陽新幹線 名古屋 南紀
19-1 東海道・山陽新幹線 米原 ひだ
19-2 東海道・山陽新幹線 米原 ひだ 岐阜 ひだ
19-3 東海道・山陽新幹線 米原 びわこEXP
19-4 東海道・山陽新幹線 米原 しらさぎ
20-1 東海道・山陽新幹線 京都 まいづる
20-2 東海道・山陽新幹線 京都 きのさき
20-3 東海道・山陽新幹線 京都 きのさき 福知山 こうのとり
20-4 東海道・山陽新幹線 京都 きのさき 福知山 たんごリレ-
20-5 東海道・山陽新幹線 京都 きのさき 福知山 はしだて
20-6 東海道・山陽新幹線 京都 はしだて
20-7 東海道・山陽新幹線 京都 はしだて 福知山 こうのとり
20-8 東海道・山陽新幹線 京都 はしだて 福知山 たんごリレ-
20-9 東海道・山陽新幹線 京都 はしだて 福知山 きのさき
20-10 東海道・山陽新幹線 京都 ス-パ-はくと
20-11 東海道・山陽新幹線 京都 サンダ-バ-ド
20-12 東海道・山陽新幹線 京都 サンダ-バ-ド 金沢 サンダ-バ-ド
20-13 東海道・山陽新幹線 京都 サンダ-バ-ド 金沢 能登かがり火
20-14 東海道・山陽新幹線 京都 サンダ-バ-ド 金沢 花嫁のれん
20-15 東海道・山陽新幹線 京都 ひだ
20-16 東海道・山陽新幹線 京都 ひだ 岐阜 ひだ
20-17 東海道・山陽新幹線 京都 びわこEXP
20-18 東海道・山陽新幹線 京都 はるか

東海道・山陽新幹線(新大阪~相生)と在来線特急列車

項番 新幹線 乗継駅 在来線特急1 乗換駅 在来線特急2
21-1 東海道・山陽新幹線 新大阪 こうのとり
21-2 東海道・山陽新幹線 新大阪 こうのとり 福知山 きのさき
21-3 東海道・山陽新幹線 新大阪 こうのとり 福知山 たんごリレ-
21-4 東海道・山陽新幹線 新大阪 こうのとり 福知山 はしだて
21-5 東海道・山陽新幹線 新大阪 ス-パ-はくと
21-6 東海道・山陽新幹線 新大阪 サンダ-バ-ド
21-7 東海道・山陽新幹線 新大阪 サンダ-バ-ド 金沢 サンダ-バ-ド
21-8 東海道・山陽新幹線 新大阪 サンダ-バ-ド 金沢 能登かがり火
21-9 東海道・山陽新幹線 新大阪 サンダ-バ-ド 金沢 花嫁のれん
21-10 東海道・山陽新幹線 新大阪 ひだ
21-11 東海道・山陽新幹線 新大阪 ひだ 岐阜 ひだ
21-12 東海道・山陽新幹線 新大阪 びわこEXP
21-13 東海道・山陽新幹線 新大阪 くろしお
21-14 東海道・山陽新幹線 新大阪 はるか
22-1 東海道・山陽新幹線 新大阪~大阪 こうのとり
22-2 東海道・山陽新幹線 新大阪~大阪 ス-パ-はくと
22-3 東海道・山陽新幹線 新大阪~大阪 サンダ-バ-ド
22-4 東海道・山陽新幹線 新大阪~大阪 サンダ-バ-ド 金沢 サンダ-バ-ド
22-5 東海道・山陽新幹線 新大阪~大阪 サンダ-バ-ド 金沢 能登かがり火
22-6 東海道・山陽新幹線 新大阪~大阪 サンダ-バ-ド 金沢 花嫁のれん
22-7 東海道・山陽新幹線 新大阪~大阪 ひだ
22-8 東海道・山陽新幹線 新大阪~大阪 ひだ 岐阜 ひだ
22-9 東海道・山陽新幹線 新大阪~大阪 びわこEXP
22-10 東海道・山陽新幹線 新大阪~大阪 くろしお
22-11 東海道・山陽新幹線 新大阪~大阪 はるか
23-1 東海道・山陽新幹線 西明石 ス-パ-はくと
23-2 東海道・山陽新幹線 西明石 はまかぜ
23-3 東海道・山陽新幹線 西明石 らくラクはりま
24-1 東海道・山陽新幹線 姫路 ス-パ-はくと
24-2 東海道・山陽新幹線 姫路 はまかぜ
24-3 東海道・山陽新幹線 姫路 らくラクはりま
24-3 東海道・山陽新幹線 姫路 サンライズ瀬戸
24-3 東海道・山陽新幹線 姫路 サンライズ出雲
25 東海道・山陽新幹線 相生 ス-パ-はくと


鉄道ブログを見るならこちらをクリック▼

*1:現在はマルス発券可能

*2:ただし,京都丹後鉄道宮津駅または天橋立駅での乗り継ぎは,制度上存在するが時刻表上有効なものがないため,省略している

新幹線と在来線特急列車の「乗継割引」廃止へ

 JR北海道JR東日本JR東海JR西日本は一斉に2024年3月16日をもって新幹線と在来線特急列車*1の「乗継割引」(以下,乗継割引)を全廃することをプレスリリースにて発表した*2

 各社のプレスリリースを要約すると,廃止の理由として以下のように説明している。

  • 乗継割引を利用する旅客が減少している

  • デジタル化やネット予約の普及など社会が変容した

  • 経営環境が変化した(JR北海道

 乗継割引はJR九州が2011年に廃止したのを初めとして,2020年に「踊り子」などで列車を指定しての乗継割引不適用,2022年にJR四国での廃止など,部分的に制度が縮小してきた。

新幹線と在来線特急列車の「乗継割引」とは

 新幹線と在来線特急列車の「乗継割引」とは,以下の条件をすべて満たした場合に在来線特急列車の特急料金を5割引とすることができる制度だ*3

 上記さえ満たせば在来線特急列車の特急料金が5割引となるため,利用者にとって乗継割引は割引率が大きい上に利便性が高く,有利な割引制度であった。規則上の割引制度であり,発売枚数や発売期間の制限はない。

 では,実際に乗継割引を適用させる利用例と,乗継割引が適用されたきっぷの例を見てみよう(乗車券は省略)。マルス端末で発行される乗車券類の場合,割引が適用される在来線特急列車のきっぷには右下に大きく[乗継]の割引印章が,新幹線側のきっぷには小さく「乗継」の印字が入る。ただし,新幹線側のきっぷの「乗継」印字は任意乗継機能で発券しない場合などで,省略されることがある。

東海道新幹線「ひかり」号の新幹線特急券と,乗継割引が適用された「伊那路」の特急券

 東海道新幹線特急券と「伊那路」の特急券を同時に購入することで,「伊那路」(豊橋→飯田)の特急料金2,590円が1,290円(1,300円引き)となる。

乗継割引が適用された「サンライズ瀬戸」の特急券と,東海道新幹線の自由席特急券

 「サンライズ瀬戸」(ソロ)の特急券と,東海道新幹線特急券を同時に購入することで,「サンライズ瀬戸」(ソロ)の特急料金2,220円が1,110円(1,110円引き)となる。寝台料金は割引が適用されない。また,幹在同一の考え方から乗車券は浜松で打ち切って2枚の連続乗車券となるが,このような例でも乗継割引の適用は可能である。

新幹線との乗り継ぎが意識された列車はまだ多数

 乗継割引は1965年の東海道新幹線開業直後から存在する。乗り換え無しで行けたところが,新幹線開業によって新幹線と在来線急行・特急を乗り継ぐ輸送形態になったことで,料金が割高になることから始まった制度だ。現在も新幹線と在来線特急を乗り継ぐことが強く意識された輸送形態となっている列車は多数ある*8。先日「伊那路」に乗った際,途中駅で下車したときの着札のほとんどが「乗継割引」が適用された特急券だった。

米原駅で新幹線との接続が重視される「しらさぎ」。
新幹線はJR東海,「しらさぎ」(金沢方面)はJR西日本の運行であり,
乗継割引が適用されるとJR西日本が減収となる。

 また,当初の割高感をおさえる理由の副次的作用として,マイカーでドア to ドアで行ける世の中で「乗り換え」は一般的な利用者にとっては不便な存在であるから,割安となることで心理的な乗り換えに対する負担感を減らすことにも一役買っていたはずだ。

ネット予約の普及が理由というけれども……

 乗継割引とは前述の通り利用者にかなり有利な制度である。また,国鉄分割民営化に伴い,新幹線と在来線特急で異なる JR の場合は在来線特急側の JR は単純に減収となる。JR にとって都合の悪い制度であったことは間違いないだろう。しかし,JR 各社は協調して現状にそった乗継割引制度への再設計を行わなかった。たとえば,北陸新幹線敦賀延伸に伴って,富山~敦賀間の新幹線と敦賀~大阪・名古屋間の在来線特急列車を敦賀駅で改札を出ないで乗り継ぐ場合は割安な料金(幹特在特)が設定されるが,そのような仕組みを全国の新幹線・在来線特急列車網に適用することはできたはずだ。

 そしてこれまで乗継割引の存在を利用者には積極的にはアナウンスせず,ネット予約等も「トクだ値」等の利用者にとって制約が大きい「自社にとって都合が良い」割引しか広めてこなかった。旧えきねっとに存在した「乗継」予約は2021年のリニューアルによって姿を消した。そのような状態で「乗継割引を使う利用者が減った」といっても,どの口が言うかという話である。

 乗継割引廃止後もネット予約商品で代替するという一部 JR もあるが,割引率が低くて列車や席数に限定がありいつも売り切れ状態で景品表示法違反ギリギリのえきねっとトクだ値」のようなもので代替となるはずがない。少なくとも乗車直前に在来線特急と新幹線を買って割引が適用されなければ代替とはならない。

乗継割引の廃止から見える JR の思惑

 JR 各社は列車やサービスを廃止するときにいつも「社会が変わった」とか「利用する人が減った」などと宣うが,これは JR にとって都合の悪い発表をするときに使われる常套文句だ。結局のところ,JR北海道だけでなくJR本州三社も経営環境が悪い方向に変化していく中で,割引率の高い乗継割引が適用されると JR の収益に寄与しないし,自社が展開したいサービスとそぐわないので廃止したいのだ。JR 各社は国鉄時代に築き上げた広範な鉄道ネットワークを分断することによる,自社の収益の最大化ばかりを考えている

 JR は税金で作られた国鉄を引き継いだという経緯があり,協調してサービス面も含めた国鉄時代以来の鉄道ネットワークを維持する責任がある国鉄が地域ごとに分割された以上,利用者は好き好んで特定の JR 一社だけを利用できるわけではないのだ。

鉄道はさまざまな交通モードと競合している

 利用者は鉄道だけでなく高速バスや航空機,マイカーといった競合するモードの中から交通手段を選んでいる。日本の隅々まで国道や高速道路が整備されて道路交通が充実している一方で,ただでさえ鉄道は不便なうえに料金が高いのに,JR がこのような改悪を続けていっているようでは自分で首をしめていっているようにしか見えない。

 次回の記事で,2024年3月時点まで残った乗継割引の一覧を掲載する。


鉄道ブログを見るならこちらをクリック▼

*1:現在の JR には急行列車の定期運用がないため省略するが,急行列車にも適用される。以下同じ

*2:JR北海道プレスリリースJR東海プレスリリースJR東日本プレスリリースJR西日本プレスリリースを参照

*3:JR東日本 旅客営業規則第57条の2

*4:定員2名以上の寝台個室を利用する場合,特急の個室を利用する場合,新青森~青森間で特急列車に乗る場合,「踊り子」「サフィール踊り子」「湘南」「WEST EXPRESS 銀河」に乗車する場合を除く

*5:新大阪駅で幹線と乗り継ぐ場合に限る。

*6:上越妙高駅に直通して運転する急行列車に乗車し,上越妙高駅で新幹線と乗り継ぐ場合に限る。

*7:金沢駅に直通して運転する急行列車に乗車し,金沢駅で新幹線と乗り継ぐ場合に限る。

*8:「つがる」「いなほ」「ふじかわ」「しらさぎ」「やくも」など

パノラマ特急の旅(2) ~HOT7000系特急「スーパーはくと」最前列に乗る~

 前回の記事の続き。

ashizin.hatenablog.com

 米子で下車したあとは,山陰線の上り普通列車に乗り換えて東へ。時折見える山陰の日本海の景色を眺めつつ,向かう駅は倉吉駅だ。

HOT7000系 特急「スーパーはくと」10号@倉吉

 倉吉駅からは特急「スーパーはくと」10号京都行きに乗車する。特急「スーパーはくと」で運用されているHOT7000系も,流線型の先頭車両を使用した前面展望が楽しめる車両である。特急「スーパーはくと」は5両編成で,京都方の先頭車両が普通車指定席,倉吉方の先頭車両は普通車自由席*1で,パノラマグリーン車の381系「やくも」に比べれば最前列での前面展望が楽しみやすい列車だろう。

 なお,運用上の都合で前面展望が楽しみづらい貫通型の車両が先頭車両に入ることもあるらしいが,流線型先頭車両の検査や車両工事が行われるときの予備車としての運用となるため,こちらも時刻表等にあらかじめ記載されることはない。

 「やくも」と同じようにこちらも貫通型車両が来ないかと不安になったが,無事に流線型車両が先頭に立っていた。

特急「スーパーはくと」10号の特急券

 今回乗車するのは先頭車両最前列となる5号車1番D席である。しかし実際に私が座っていたのはC席である。予備車である貫通型車両が先頭車両として入ると,5号車1番C席にあたる座席がないため,流線型車両であっても,きっぷ予約時のシートマップで見ると5号車1番C席は常に「発売済み」となる。そのため,5号車1番D席のきっぷを持っていれば,実際にはC席とD席をひろびろ使えるというわけだ(5号車1番C席は調整席として使われていると思われるので,利用の際は車掌の指示に従いましょう)。5号車1番D席は前面展望ができるだけでなく,ゆったりと座席利用ができる「スーパーはくと」の超当たり席である

最前列付近の様子。視界は良好。

 最前列からの景色がこちら。381系「やくも」よりもフロントガラスの高さがありガラス面積も大きいことから,「やくも」より視界は良好だ。

特急「スーパーはくと」10号 倉吉→京都

特急「スーパーはくと」路線図*2

 倉吉を発車すると,山陰本線を走って鳥取へ向かう。単線非電化の山陰本線であるが,「スーパーはくと」はぐんぐんと速度を上げ,110kmくらいで走っているようだ。定尺レールでお世辞にも規格の高さを感じない山陰本線を初っ端からぶっ飛ばしている。力強いディーゼル音や激しいテンポで響くレールのジョイント音が,否応なしに「この列車は速いぞ」と体に伝えてくる。

 さっそく車掌が回ってきたが,智頭急行の係員だった。智頭急行はこの先の智頭~上郡間で通過する社線だが,車掌は越境して倉吉まで乗務しているらしい。きっぷに捺印された智頭急行のスタンパはこのとき頂いたものである。

 鳥取に到着すると主にビジネスマンの風貌の乗客が多数乗車してきて,5号車はほぼ満席状態に。自由席はさらに混雑しているかもしれない。夕方上りの列車とはいえ,平日ながら思った以上の利用があって少し驚いた。鳥取京阪神地区を直結する「スーパーはくと」は旺盛なビジネス需要を取り込んでいるようだ。

130km 近いスピードで走る

 因美線を経由して智頭に到着すると,ここで運転士も智頭急行の係員に交代となる。智頭急行線は陰陽連絡を目的として鉄道公団が建設したのち,国鉄末期に建設凍結したものを第三セクター方式で1994年に開通させた路線である。130km運転による優位性を確保することを目的に,開業当初から高規格な路線となっている。

 智頭急行線はほとんどが高架橋や盛土,トンネルになっていて,踏切は少なくカーブは緩やか。ここぞとばかりに本領発揮する「スーパーはくと」は,120kmを超えても加速し続け,130km弱で巡航している場面も。カーブは緩やかだといっても高速度で減速せずカーブに突っ込んでいくのは最前列で見るとヒヤヒヤするのだが,カーブに入るとともにクッと車体が大きく傾き,カーブの終わりと同時にスッと車体が戻るキビキビとした振り子制御になっていて,まるでバイクにでも乗って峠道を走っているかような爽快感がある。

 上郡で運転士と車掌が交代し,再び JR 線内へ。上郡で振り子制御は解除されるが,もとより新快速電車が130kmで走る山陽本線である。「スーパーはくと」も最高速度 130km でぶっ飛ばす。

山陽本線を130kmで走る「スーパーはくと」。スピード感満点。

 京阪神都市圏に入り並走して走る電車も増えてくるなか,「スーパーはくと」は複々線の外側を快走する。三宮や大阪でまとまった量の乗客をおろしつつ,何本かの普通電車を追い越しながら,列車はやがて終点の京都駅に到着。倉吉から3時間以上たっていて外はすでに真っ暗になっていたが,前面展望を思いっきり楽しむことができて満足だ。

京都駅に到着

乗車雑感

 381系「やくも」パノラマグリーン車に乗ったあとだったので,どうしても「やくも」と「スーパーはくと」の乗り比べをしたくなるのだが,この2列車で比較するなら「スーパーはくと」に軍配が上がる。足元からの力強いディーゼルエンジンの音,キビキビとした振り子制御,視界の広いフロントガラスなど,「スーパーはくと」のほうが最前列で前面展望を見ていて楽しかった。

 「スーパーはくと」は大阪万博の開催にあわせて,運行形態の変更や車両更新の噂がある。2024年春のダイヤ改正では,京都発着の列車が大幅削減される代わりに1往復増便されるほか,全車指定席となる予定だ。前面展望ができる特急列車に興味がある方には是非いまのうちに楽しんでいただきたい列車である。


鉄道ブログを見るならこちらをクリック▼

*1:2024年春のダイヤ改正から全車指定席となる予定

*2:JRおでかけネットより引用

パノラマ特急の旅(1) ~381系特急「やくも」パノラマグリーン車最前列に乗る~

 昨年11月,JR西日本エリアで走るパノラマ列車に乗るための旅行をしてきた。乗車するのは岡山~出雲市間を運行する381系「やくも」パノラマグリーン車と,京都~倉吉間を運行するHOT7000系スーパーはくと」である。

 この記事では381系「やくも」パノラマグリーン車の乗車レポをお届けしたい。

特急「やくも」381系とパノラマグリーン車について

 特急「やくも」で運用される381系は国鉄時代に開発された振り子式の特急電車だ。その一部の編成の出雲市方先頭車両がパノラマグリーン車といわれる,先頭車両の運転席後ろをガラス張りにして前面展望を考慮したタイプの車両となっている。

 かつて381系は「しなの」「くろしお」などで運行されていたが,それらの列車は新型車両に置き換わり,現在の運用は「やくも」のみ。この「やくも」についても今春以降,381系から新型車両の273系*1に順次置き換わる予定だ。しかも,381系は国鉄形特急電車の最後の生き残りであるという。そのため,日本では唯一の国鉄型特急列車で,なおかつ一部の列車でしか設備されていない前面展望が可能なパノラマグリーン車は,特に注目度が高くなっている。

 特急「やくも」のパノラマグリーン車は,乗車時点で以下の列車で運用されている。パノラマグリーン車が先頭になるのは下り列車だ。

下り「やくも」3・5・17・21号
上り「やくも」2・4・16・20号

 パノラマグリーン車が組み込まれた381系は2編成しかないが,上記の運用をこなすには2編成必要。つまり検査などでパノラマグリーン車が組み込まれた編成が運用に入らない場合は,せっかくパノラマグリーン車の列車の特急券がとれても,パノラマではないグリーン車が充当される可能性がある。時刻表にも,「パノラマ型でない日があります」とただし書きがあるが,それがいつなのかは明記されない。

特急「やくも」5号 岡山→米子

 今回乗車するのは特急「やくも」5号で,行程の都合で途中の米子駅まで。特急券は e5489 で予約した「WESTERポイントアップグレードチケットレス(グリーン)」。1000ポイントと引き換えにグリーン料金は0円でグリーン車に乗車できる商品だ。チケットレスなので発券不要だが,紙きっぷのオタクなので駅でわざわざ発券してもらっている。

「やくも」5号(パノラマグリーン車)の特急券・グリーン券

 この日は早朝から岡山にいたので,同じくパノラマグリーン車編成が充当されるはずの「やくも」3号の様子を見てみたところ,"パノラマ型でない"車両で運用されていた。私が乗車する「やくも」5号もどうなるかとヤキモキしたが,無事にパノラマグリーン車つきでやってきた。復刻塗装のスーパーやくも色の編成だ。

スーパーやくも色の「やくも」5号
右の出雲市方の先頭車両が「パノラマグリーン車」。

 岡山駅でひととおり写真を撮ったら,「やくも」5号のパノラマグリーン車に乗車。私の席は最前列の1号車1番 C 席である。国鉄形電車といえども,車内は2007年からの"ゆったりやくも"化改造によりリニューアルを受けているため,内装や座席に古さはさほど感じない。また「やくも」のグリーン車は1-2列席なのも好ましい*2。  

(左)パノラマグリーン車最前列 / (右)1号車1番C席からの風景

 1号車1番 C 席に着席すると,なるほどパノラマ車両というだけあって眼の前広がるのは運転席ごしの前面展望の眺望である。最前列のため側窓の眺望はあまりよくないが,前面だけでも十分すぎる眺望があるので問題ないだろう。ただ経年劣化なのかフロントガラスの曲面部分が白っぽくなっていて,やけに視界に入るのが気になる。

 ちなみに,最前列でも1号車1番A席とB席は運転士の後ろにあたるため,やや前面展望の景色は見づらい。1号車1番C席がパノラマグリーン車の中で唯一の当たり席となる。

 岡山を発車後,山陽本線を走ったあと倉敷から伯備線へ。伯備線中国山地を横断する路線で,一部が単線区間となるなど曲線の多い線形だ。そんな路線を,「やくも」は100km~110kmほどで快走する。

目の前の景色にすべて奪われる

 以前,普通車に乗ったときに気になった振り子式車両特有の揺れの大きさは思ったほど感じない。前を見ていて線形がわかっているので,自分がクルマを運転していると G の変化を感じにくいのと同じように,体が身構えるので揺れを感じにくいのかもしれない。また,パノラマグリーン車はモータがついていないため,走行音は大きくない。そんなこともあって,他のディーゼル特急などと比較すると,振り子車両が爆走することによる速度感は小さいように感じた

 伯備線に沿って高梁川の流れが見えたり,伯備線電車や特急「やくも」がすれ違たっりするなど,前面展望の景色は激しく変わり,忙しなさすらある。だがそれがいい。せっかくのグリーン車なのに,シートのリクライニングも倒さず,私の視線はうつろいゆく前面展望に釘付けになる。

 そんな前面展望の楽しみは,新見あたりから乗ってきた添乗の係員2名によって半減された。仕方のないことではあるが,なにもパノラマ車両で2名も添乗しなくても……と思わないことはない。

2人も添乗していたらあまり前が見えない

 「やくも」5号は県境の谷田たんだたわをトンネルで抜けて鳥取県へ。ぐずついた天気の中,米子に向けて駆けていく。伯耆大山山陰本線と合流し,米子着。後半は添乗であまり前が見えないというトラブル(?)もあったものの,楽しいパノラマ列車旅となった。

つづく

ashizin.hatenablog.com


鉄道ブログを見るならこちらをクリック▼

 

*1:パノラマグリーン車の設定は無し

*2:新型車両の273系もグリーン車は1-2列席となる予定

「旅せよ平日!JR東日本たびキュン♥早割パス」で秋田の秘湯温泉へ日帰り旅行に行く

 JR東日本で発売されている「旅せよ平日!JR東日本たびキュン♥早割パス」(以下,キュンパス)は,JR東日本全線と一部の私鉄の普通列車および特急列車の自由席が平日1日乗り放題の特別企画乗車券だ。さらに2回の指定席も利用することができる。発売条件は「えきねっとで利用日の14日前までに購入すること」のみであり,早割とあるが発売枚数制限等は無い。2024年2月14日~2024年3月14日の平日利用分のみ発売されている。

 価格は10,000円。東京から東北新幹線で北上する場合,片道なら東京・仙台間(定価:10,890円),往復なら東京・那須塩原間(定価:11,640円)を利用するだけで元がとれてしまう。

「旅せよ平日!JR東日本たびキュン♥早割パス」

 今回私はこのきっぷを使って横浜から秋田にある秘湯・乳頭温泉鶴の湯まで日帰り旅行へ行ってきた。

始発の新幹線で盛岡へ

 キュンパスは発売開始初日に購入。指定券もキュンパスの購入と同時に取得した。

 そもそもキュンパスを購入した当初の理由はこのきっぷで秋田の秘湯に行きたかったのではなく,岩手・八幡平のスキー場にスノボに行くためであった。そのため,指定券も朝晩の東京~盛岡間の往復を取得していた。しかし2月なのに春一番が吹くなど異常なほどの高温で,スキー場は雨のようす。そこで嫁から乳頭温泉に行きたいというリクエストがあったのを思い出したのと,これとは別に週末にもスキー場には行く予定だったので,スノボは早々に諦めて乳頭温泉に行くことにした。急な行程変更になるがフリーパス利用なので柔軟が効く。

 指定券は朝一番の「こまち」1号を取っていたので,温泉に行くには早すぎる。午前中は盛岡市内を観光することにして,予定通り盛岡まで乗車する。

早朝の東京駅

 地元の横浜駅からキュンパスを利用開始して,東海道線で東京駅へ。早朝の東京駅は,キュンパスを持っている人を多数見かけた。平日(水曜日)早朝の列車なのに「いかにも旅行に行く人」は駅でも列車内でもやけに多く,ほとんどがキュンパス利用者だろうと想像される。この日の「はやぶさ」「こまち」1号は満席だった。

鉈屋町の町並み

 盛岡駅に降り立ったあとはスノボ板を積むために予約していたやけに大きなカーシェア車両に乗って,盛岡市内へ。有名な福田パンコッペパンをいただき,盛岡駅から2キロほど離れた鉈屋町に行って古い町家の町並みを歩き,豊富な水資源に由来する共同井戸を見学したり地酒「あさ開」の酒蔵で日本酒を購入するなどした。酒蔵に行くなら試飲するのだから,クルマではなくバスで行けばよかったと後悔した。

盛岡から新幹線とバスを乗り継いで乳頭温泉

 昼食に盛岡冷麺をいただいてから,昼過ぎの「こまち」で田沢湖駅へ向かう。「こまち」は全車指定席だが,盛岡~秋田間は自由席と同額の特定特急券で空いている席を利用できる。キュンパスでもこの区間は指定をしなくても追加料金不要で空いている席が利用可能だ。今回はキュンパスを使って指定なしで空いている席を利用しようとしたが,昼間の列車でも2人並びで空いている席は無く,通路側に縦並びで利用することになった。盛岡から田沢湖までなら30分程度なのでどうということはない。

田沢湖駅で下車

 田沢湖駅で下車。キュンパス利用はいったんここまでとなる。田沢湖駅から羽後交通バス乳頭温泉行きに乗り換え,「アルパこまくさ」まで乗車。羽後交通バスでは交通系 IC カード等は使えないが,PayPay など QR コード決済が使えるようになっていた。

「アルパこまくさ」で乳頭温泉行きバスから送迎バスに乗り換え

 「アルパこまくさ」では今日の目的地乳頭温泉鶴の湯への送迎バスが待っている。このバスに乗り換えて,細い山道を10分ほど走れば鶴の湯に到着だ。

乳頭温泉鶴の湯の混浴露天風呂*1

 乳頭温泉鶴の湯は言わずとしれた有名な秘湯である。雪景色が美しい茅葺き屋根の長屋「本陣」の眺めもよいが,やはりお目当ては硫黄系の白く濁った掛け流しの温泉だ。冬の鶴の湯はややぬるくなるらしく,内風呂も露天風呂もさほど熱くない。混浴露天風呂は足元からプクプクとお湯が湧くが,体温より少しあたたかい程度のぬるさで,無限に浸っていられるほど気持ちが良い。送迎バスの折り返しまでの1時間,ゆっくりとお湯に浸かった。

 帰りも,田沢湖駅から「こまち」に乗車。盛岡駅で下車してじゃじゃ麺を食べてから,指定券をとっていた「こまち」で帰京した。

旅行後記

 キュンパスを利用して横浜~田沢湖間を新幹線を使って往復した。距離にして約1200km,費用は通常なら運賃・料金だけで単純計算で3万円以上。新幹線を使うことでの時短と一人2万円以上の割引額は大きい。また,フリーパスのため急な行程変更にも柔軟に対応できた。

 仮にキュンパスが無くても乳頭温泉への旅行で新幹線を使って往復したかといえばそうは考えない。キュンパスが無いなら,盛岡まで夜行バスで行くとか,秋田まで飛行機を使うとか,はたまたマイカーでのんびり行くとか,スケジュールや費用と相談しつつそういうことを考える。そもそも私は昨今のサービス低下や安全意識の低下が著しいJR東日本に対してネガティブな印象しかないので,値段の高い新幹線で日帰り往復するなどまずありえない。キュンパスを使うことで一人2万円引きで旅行できるならJR東日本に文句は言わまいと,目を瞑った形である。

夜の盛岡駅

 今回のキュンパスの発売は,テレワーク等の普及でビジネス利用が減った平日と,旅行需要の高い土日の利用を平準化させるための旅行喚起策であろう。キュンパスを使って駅や列車で見たのは同じくキュンパスで旅行する人たちの姿であった。「格安で特急乗り放題」というのはわかりやすく,注目度も高い。この1ヶ月間のキュンパス発売実績をふまえて,JR東日本は次にどのような手を打つのだろうか。


鉄道ブログを見るならこちらをクリック▼