きっぷ片手に旅をする

公共交通利用が中心の旅行記がメイン。月3回程度のペースで定期更新中。

蔵王温泉への道

 前回の記事で購入したきっぷで先日は蔵王温泉へ行ってきました。

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蔵王温泉

 感染症拡大予防への協力のため,静かな一人旅を徹底。蔵王には何度か来ていますが,今回は初めてクルマを借りず路線バスで行ってみました。

 

山交バス 山形駅前→蔵王温泉駅(蔵王温泉バスターミナル)

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蔵王温泉への路線バスは山形駅から

 蔵王温泉ゆきのバスは JR 奥羽本線蔵王駅ではなく,山形駅から出発。蔵王温泉ゆきのバスは約1時間に1本の運転があり,ローカル路線にしては比較的高頻度です。蔵王は温泉地という性格のほか,登山や紅葉狩り樹氷散策やスキーと四季折々にあわせたアクティビティも楽しめる東北有数の観光地。クルマ社会の現代でも路線バスは一定の需要があります。

 山形駅前のバス乗り場の端っこにある1番乗り場に蔵王ゆきの乗車位置があり,ここで待機。近くにあるバス案内所に切符売り場もあるので,あらかじめきっぷを買っておくことが推奨されています。山形駅から蔵王温泉までは片道1,000円なので,千円札1枚もっておけば問題なさそうですが……。

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蔵王温泉ゆきの路線バス。高速バスタイプの車両で運転。

 この日は平日ということもあり蔵王温泉ゆきのバスには地元の高齢者が中心に乗車。郊外部で下車する地元の方が多めでした。また途中バス停から学校帰りの生徒も乗り合わせており,山形市郊外の近距離輸送がメインのような感じでした。ふだんの温泉や登山,スキーで賑わう時期だったら,もっと観光客も乗り合わせていたのでしょうか……。

 山形上山 IC 付近にある「表蔵王口」をすぎると蔵王に向けて山道に。山が深くになるにつれて民家は少なくなり雪は深く。天気が悪くホワイトアウトして視程が短くなってヒヤっとするシーンもありましたが,バスの運転手さんにとっては慣れたもので徐行して進んでいきます。

  山形駅から約45分,蔵王温泉バスターミナルに到着。

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 蔵王温泉バスターミナル降りて待合室に入ると「蔵王温泉駅」の駅名標があり驚きました。もちろん鉄道駅ではありません。バス停のうち出札があったり,国鉄や JR と連絡運輸を行っているものを民営バスにおいても駅(自動車駅)ということがかつてはよくありました。

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 蔵王温泉駅もかつては国鉄や JR と連絡運輸を行っていたよう*1*2ですが,現在は JR との通しの乗車券は発売されていません。

 しかし現在でも出札機能は残ってあり,山形駅前までのきっぷが自動券売機等で売られています。バスが発車する際は「ジリリリリ……」と発車ベルの音も。まさに駅らしさを感じさせるバスターミナルでした。

 蔵王温泉駅は温泉街の入口部分にあり,たいていの宿へは送迎を頼むことになります。昔に比べて利用者は少なくなっているかもしれませんが,現在でもれっきとした交通の結節点です。

 

蔵王温泉への昔の乗り物

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馬橇

 蔵王ロープウェイ樹氷高原駅に展示されている「馬橇」です。案内文によると昭和20年頃まで,冬季の温泉客やスキー客は馬橇に乗って表蔵王口から2時間半かけて蔵王にきたそうです。吹雪に巻き込まれて立ち往生することも。現代では同区間はわずか20分。交通の発達に感謝しかありません。

馬橇(ばそり)

 この「馬ソリ」は昭和の初め頃より、スキー客や湯治客をのせて半郷(表蔵王口)から蔵王温泉まで2時間半もかかりのぼったものです。吹雪に巻き込まれて立往生したりすることもありましたが、ソリの中にはアンカが入っており暖をとりながらのんびりのぼったものです。

 このソリには秩父宮殿下、李王殿下、三笠宮殿下をはじめ戦前冬の蔵王を訪れた多くの方々が利用されました。冬もバスが通るようになった昭和20年頃まで冬季の唯一の交通機関として澄んだ鈴の音と共に親しまれておりました。

ーー展示品の案内文より

 

 あとがき

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 緊急事態宣言の再発令により東京方面からの観光客がめっきりと減り, 蔵王温泉では予約の8~9割がキャンセルとなった宿もあるそうです*3。今旅行では蔵王温泉に2泊して温泉とスノボを楽しみましたが,宿泊した宿も自分と数組の客しか見かけませんでした。ゲレンデもウィンターシーズンと思えないほど空いていて快適ではありましたが同時に蔵王ほどのゲレンデでも立ち行かなくなるのでは,という不安も感じました。

 蔵王は温泉も雪もとてもよいところなので,この状況が落ち着いたら知り合いを連れてまた来ようと思います。