きっぷ片手に旅をする

公共交通利用が中心の旅行記がメイン。月3回程度のペースで定期更新中。

絶景の小笠原・父島 1泊4日旅行(後編)

前回の記事の続きです。

南島上陸ツアー

 2日目は南島上陸ツアーに参加。父島近くにある南島は島全体が国の天然記念物に指定されている無人島で、ガイドさんなしでは入島できません。

南島周辺の地図(地理院地図)

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二見港から漁船に乗り込み南島へ

 二見港から漁船で南島へ。二見港から南島の東側を抜けて南の「鮫池」という入り江に向かいますが,このあたりは地形的に潮の流れが早く,かなりの荒波。ただ意外と酔うことはなくむしろ楽しんでいたくらいです。

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鮫池から南島に上陸 鮫池もかなり絵になる景観だ

 南島に上陸後,東側の高台へ。そこに待っていたのは小笠原イチの絶景でした。

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扇池

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沈水カルストの島々と父島

 美しい白浜にターコイズブルーの扇池。青い海に点在する島々と,父島の雄大な姿。この日は朝イチのツアーだったため,我々のみでこの景色を独り占めしました。

 南島とその一帯は珍しい沈水カルスト地形*1石灰岩の地質のため,南島の砂は白く,島の緑と海の青のコントラストが映えます。凹地の陰陽池,海蝕洞の扇池,浸食が進んで入り江になった鮫池と,浸食の度合いによって異なる地形がひとつの狭い島で見られることや,カルスト地形特有の鍾乳洞や石灰岩が露出した様子が見えるのも特徴です。

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砂丘にはマイマイの半化石が大量に転がっている
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営巣するカツオドリのつがい

 また,生態系の面では,すでに絶滅したマイマイの化石が大量に転がっていたり,ウミガメが産卵しにきた跡が残っていたりと,内地では見られない生態が観察できるのも面白いです。 

 南島へのツアーは結構いいお値段がするのですが,この絶景を見られただけでもツアーに参加する価値がありました。ちなみに行き帰りの船上でイルカウォッチングもできるのですが、このときは残念ながらイルカには会えませんでした。。

 おがさわら丸 父島→東京

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 2日目の午後に名残惜しいですが父島を出港します。おがさわら丸の出航時には島民の方が手を振って見送りに来ていただけるだけでなく、漁船が数隻おがさわら丸と並走して、しばらくしたら船から島民が飛び込むというパフォーマンスが。おがさわら丸出航時の恒例行事ですが、いざ目の前で見ると感動でした。
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おがさわら丸を見送る漁船たち

 父島を離れたら,あとは少なくとも八丈島までネット断ち。旅疲れもあるのでのんびり過ごします。このブログ記事も,下書きはおがさわら丸のラウンジでちまちま書いています。 

旅行後記

 日本で最も遠い島のひとつ,父島。一般的には3泊6日旅行のスケジュールが多いですが,1泊4日でも初めて父島を訪れる私にとっては充分満足できました。特に1日目の午後と2日目の午前をそれぞれツアー参加にしたので,父島の名所は一通りめぐることができました。意外にも私のような休みが取りづらく,初めての父島で広く浅くで名所を巡りたい人にとっては,1泊4日の小笠原旅行はちょうど良いスケジュール感なのかもしれません。ただ,今回は運良く空梅雨で,父島滞在中はほとんど天気に恵まれていたため,1泊4日でもなんとかなったという見方もできます。自然景観を楽しむのに天気が悪いと残念なことに…。
 ちなみに,おがさわら丸が父島1泊になるのはドック期間前後だけ。ドック期間中は物資の輸送が滞るため(?)すくなくともドック期間後の便を父島1泊としているようです。このほかに夏や年末年始の繁忙期に父島0泊のときもありますが,さすがに0泊3日はあまり名所も見れない弾丸ツアーになってしまいそうです。
 父島には今回体験した以外にもたくさんのアクティビティがあり,大自然があります。つぎは母島訪問も含めて,ぜひ3泊6日で小笠原に行ってみたいと思います。予算と休みが確保できればですが…。

*1:珊瑚礁由来の石灰石の地層が隆起して島になったあと、海に沈んだ地形