きっぷ片手に旅をする

公共交通利用が中心の旅行記がメイン。月3回程度のペースで定期更新中。

木次までの乗車で楽しむ奥出雲おろち

 「奥出雲おろち」号は毎年春から秋にかけて出雲市→備後落合間(往路),備後落合→木次(復路)間で運転される木次線トロッコ列車です。

奥出雲おろち(木次駅出雲市駅)

 奥出雲おろち号はいまどき珍しくなった JR 本線上を走る客車列車で,トロッコとはいえ12系客車からの改造。とくに控車のほうは座席が交換されているものの客車列車の雰囲気が味わいやすくなっている。

ロッコ客車と控車

 先日の出雲旅行のついでに「奥出雲おろち」に乗車してきた。出雲旅行の企画自体が直前だったため「奥出雲おろち」の予約もかなりギリギリだったが,e5489 で念入りに空席確認をすると,出雲市→木次間に空席があったのでこの区間で席を発券。出雲市→木次間は往路のみの運転区間だが,朝が早く出雲市周辺住民か出雲市泊でないと乗車しにくいということもあって直前でも意外と席が空いていることが多い気がする。木次ではわずかの接続時間で宍道方面の普通列車に接続し,出雲市に戻るか松江方面に転戦しやすいのも嬉しい。

奥出雲おろち 指定席券

 木次までの区間は「木次線の旅」という観点では,たたら製鉄によって生まれた鉄穴(かんな)段丘と棚田の広がる車窓や出雲横田以南の超閑散区間の乗車,三段スイッチバックや奥出雲おろちループなどが見られないので,趣に欠けるかもしれない。

木次までの利用では斐伊川の眺めがハイライト(2018年の写真)

 ただマニア的に「12系客車の奥出雲おろち号」に乗るという意味ではどの区間に乗っても良い。なんなら出雲市から宍道までの山陰本線を爆走する区間は趣味的には面白い。また,出雲市を出てすぐの斐伊川の眺め,直江での特急退避など,この区間だけでも見どころは多い。もちろん,客車列車特有の車掌の発車合図,発車時の衝動,DE10 機関車の排ガスの匂いなども思う存分味わえた。過去に「奥出雲おろち」で備後落合まで乗り通したこともあるので,木次までの利用でも満足だった。

 

 木次線の「奥出雲おろち」は2023年度までに運転終了することが確定しており,後継車は「あめつち」となることが決まっている*1。ただし「あめつち」は車両性能の問題で出雲横田以南に乗り入れることができないので,「あめつち」への置き換えで運行形態はいくらか変わるだろう。現状きわめてアクセスの悪い木次線(奥出雲おろち)だが,気動車への置き換えで山陽方面からのアクセス改善で周遊性も確保してほしいと思うが,ただでさえ利用状況が厳しい昨今なのでどうなるだろうか。

 2024年になったら,JR 本線上を毎週のように走る客車列車など絶滅しているはず。木次線の旅だけでなく客車列車の旅も手軽に味わえる奥出雲おろち号,まだ乗っていない方はお早めに。