きっぷ片手に旅をする

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特急「小田原・甲斐国」乗車記

列車名:特急「小田原・甲斐国」(おだわら かいのくに)
運転区間:小田原〜小淵沢東海道線武蔵野貨物線南武線・中央線経由)

 

 特急「小田原・甲斐国」という臨時特急列車に乗車してきた。2022夏臨では特急「千葉・甲斐国」など甲斐国シリーズの列車が運転されていて,そのひとつがこの特急「小田原・甲斐国」となっている。特急「小田原・甲斐国」は東海道線小田原を出ると茅ヶ崎・藤沢・大船・横浜の各駅に停車してから山梨方面に向かう。2019年まで横浜〜松本間(横浜線経由)で運転されていた特急「はまかいじ」に似たような,神奈川県方面から山梨県方面への輸送の役割を持っていると思われる。

 乗車したのは運転初日の上り(小田原行き)列車。今回はただ「乗るだけ」なのでこの列車で特徴的な八王子→小田原間を乗車する。利用当日に指定席をとったが空席表示は◯で拍子抜けした。

八王子から特急「小田原・甲斐国」に乗車

 特急「小田原・甲斐国」は八王子を出て横浜まで時刻表上ノンストップとなるがこの区間が当列車のハイライトとなる。中央線の小淵沢から来た特急「小田原・甲斐国」はそのまま中央線を走り立川へ。さっそく立川のホームがあるところで運転停車すると,線路をいくつか跨いで南武線に入る。中央線内で数分の遅延を持ったまま南武線に入線したので,南武線内でもやや飛ばし気味。さらに府中本町で武蔵野貨物線に入ると多摩川を渡り,左手に美しい中秋の名月が見えた。その後長い貨物線のトンネルを抜けて新鶴見を過ぎ,鶴見で再度運転停車しいくつかの線路を跨いで東海道線に入ると,間もなく横浜駅に着く。八王子から横浜まで,横浜線が使えない*1がために,複雑な経路を辿って走る。

 八王子の時点で座席は半分程度しか埋まっていなかった。2日間しか運転されない臨時列車のわりには可もなく不可もなしという感の乗車率。夏休み明けでシーズンを過ぎた9月の週末で観光需要は大きくなく,なおかつ E257 系波動用車両での運転なのでマニア向きにもされにくいのだろう。列車は横浜でまとまった量の下車があり,その後の停車駅でも一定数の下車が続き,茅ヶ崎を出た頃にはひと車両に数人程度しか乗っていなかった。小田原を冠する列車名のわりには小田原までの利用はかなり少なかったようだ。

藤沢に停車。降りていく人はいるが乗る人はいない。

 この列車が東海道線に入る頃には夕方下りラッシュの只中。先日の「伊東按針祭花火大会号」のように,茅ヶ崎から小田原まで東海道貨物線経由で旅客列車を追い越すダイヤになっているのだろうと予測していたが,実際には横浜・戸塚・平塚の各駅で3本の先行列車に時刻変更をかけて退避させ追い越すという贅沢なダイヤになっていた*2。定期列車を退避させておいて恐縮だが,割り込んできた臨時特急のほうはガラガラである。

小田原に到着

 終点小田原には時間通り到着。15両編成が停車するホームに5両編成の特急が止まるとかなり小ぢんまりしているように見える。

 

 2019年まで運転されていた特急「はまかいじ」は横浜線経由で,一部を除いた他線との接続駅に停車し,横浜線に接続する私鉄沿線を含む広いエリアからの集客を図っていた。「はまかいじ」は横浜線内もそれなりに混雑していた記憶がある。

 今回の特急「小田原・甲斐国」は「はまかいじ」に比べると集客できるエリアが人口の比較的少ない横浜郊外や神奈川県西部に移った。さらに藤沢・茅ヶ崎,小田原の住民が山梨県方面に旅行しようとすると,距離的にカーシェアやマイカーなどで御殿場・河口湖を抜けて行くほうが圧倒的に便利なので,さほど需要も大きくない。このような点と,今回の乗車雑感からして,特急「小田原・甲斐国」が「はまかいじ」のように頻繁に運転される臨時特急列車に成長していくかどうかは微妙なところだと思う。

 

特急「小田原・甲斐国」のB特急券

 小田原を通る「踊り子」「湘南」のような新しい着席サービスが適用される列車は新幹線と在来線特急の乗継割引が適用外となっているが,小田原駅での新幹線と在来線特急の乗継割引は廃止されていないので,特急「小田原・甲斐国」と新幹線の乗継割引(5割引)が可能。今回の乗車にあたって新幹線特急券と同時購入し,特急「小田原・甲斐国」に乗継割引を適用させた。安いし帰りに新幹線にも乗れるなんてお得だなあ。 

*1:横浜駅にホームドアが設置されていたり,E257系に横浜~東神奈川間で必要な ATC が装備されていなかったりするなど

*2:貨物線を通ると茅ヶ崎で貨物線ホームのシャッターを開ける必要があり,その要員を確保するのを渋って旅客線経由にしたのだろう。