きっぷ片手に旅をする

公共交通利用が中心の旅行記がメイン。月3回程度のペースで定期更新中。

西九州新幹線かもめ・リレーかもめでグリーン個室を利用する

列車名:リレーかもめ・かもめ

運転区間門司港・博多~武雄温泉(リレーかもめ)

     武雄温泉~長崎(かもめ)

 2022年9月23日,西九州新幹線(武雄温泉~長崎間)が開業した。開業に伴い,それまでの在来線特急「かもめ」に代わって,新幹線「かもめ」が博多~長崎間の都市間輸送を担うことになった。ただし,政治的いざこざにより,新鳥栖~武雄温泉間の新幹線開業は未定。そのため,未開業の博多~武雄温泉間は在来線特急「リレーかもめ」が新幹線接続列車としての役割を担っている。

西九州新幹線 長崎駅

 博多~長崎間の鉄道による都市間輸送は乗り換えが発生するように発生してしまうようになったが,営業施策上,できるかぎり旅客に不利のないよう配慮されていて,武雄温泉で改札を出ず通しで乗り継ぐ場合は,基本的には新幹線「かもめ」と特急「リレーかもめ」は1枚のきっぷで通して発売されるし,乗り換えにより料金が高くならないよう新幹線特急料金と特急料金がそれぞれ1割引されている。

 設備面では,新幹線「かもめ」はN700系で普通車のみ。特急「リレーかもめ」は787系*1で,普通車に加えてグリーン席・DX グリーン席・グリーン個室を備えている。新幹線「かもめ」は普通車で,特急「リレーかもめ」はグリーン席,という乗り方をしても割安になる*2

リレーかもめでグリーン個室を利用する きっぷ購入編

 9月に九州旅行を計画していて,最後に西九州新幹線に乗ることにしたが,締めにふさわしいのはグリーン個室だろう*3と,特急「リレーかもめ」部分はグリーン個室とした。新幹線「かもめ」と特急「リレーかもめ」を通しで利用する際,特急「リレーかもめ」がグリーン個室を利用する場合でも割安な料金が適用されるが,マルス非対応のため手書きのきっぷ(料金補充券)での発売となる。当然ネット予約等もできない。

グリーン個室を利用する際のかもめ・リレーかもめの特急券
料金補充券2枚で1セット。

 左の料金補充券は,長崎→博多の2人分の特急料金の部分。「幹特在特」とあるように,新幹線特急料金と在来線特急料金がそれぞれ割引されている。右の料金補充券は,武雄温泉→博多間の「リレーかもめ」部分のみのグリーン個室料金の部分となる。

 このきっぷは JR 東海の某駅で購入した。「補充券になると思うが……」と一声かけてから駅員にオーダーしたので,対応は早かった。駅員は JR 九州が発行したと思われる発売マニュアルをもとに補充券を書いていたのが印象深い。

 なお,九州島内のグリーン個室料金は2人分のグリーン料金と同一で割安だ。

リレーかもめでグリーン個室を利用する 乗車編

新幹線「かもめ」と座席。指定席は2列+2列で広々。

 旅行当日,予定通りに長崎から西九州新幹線「かもめ」に乗車。武雄温泉までの普通車指定席は2列+2列の広々とした座席だ*4。グリーン席ほどの快適さとまではいかないが,乗車時間は40分ほどと長くないのでさほど気にならない。

 新大村付近で左手に大村湾を望むことはできるが,それ以外の西九州新幹線のほとんどの区間がトンネル。駅間隔も短いので,各駅停車便だと地下鉄のように加速と減速を繰り返しているような感じだ。乗り鉄的にも面白みは欠けるかもしれない。

武雄温泉駅で「かもめ」(右)から「リレーかもめ」(左)に乗り換え

 武雄温泉からはいよいよ特急「リレーかもめ」のグリーン個室を利用。グリーン個室は1号車グリーン車の乗車口からすぐのところにある。

個室内部。嫁が写り込んだ写真だが,対比するとわかるように個室内部はかなり広い。

 個室内は,3人分のソファと1人分のグリーン座席が鎮座した,バブル期に製造された車両らしいゴージャスな空間が広がっていた。2人で利用するにはかなり贅沢な広さだ。ドアを閉めれば個室と通路は完全に仕切られて,ほかの利用者の通行などはまったくわからない。

 博多までは1時間ほどだったが,公共交通では避けられない他の利用者への配慮をしなくてよいということは,かなりストレスフリーで素晴らしい乗車体験で,時間を忘れるほど快適であっという間だった。

*1:新幹線開業以前の特急「かもめ」

*2:武雄温泉で改札を出ないで乗り継ぐ場合

*3:JR において,個室をそなえる列車は絶滅危惧種であり,寝台特急サンライズ瀬戸・出雲」,特急「サフィール踊り子」と,この特急「リレーかもめ」などごくわずか。希少性と快適性を重視した。

*4:自由席は東海道新幹線などと同じ2列+3列