きっぷ片手に旅をする

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DE10重連!DLすいぐん号乗車記

 12月3日・4日に水郡線の一部区間で快速「DLすいぐん」号が運転されるということで,乗車してきた。今回の「DLすいぐん」の見どころは,なんといっても DE10 形ディーゼル機関車を2両連結して牽引する「重連運転」という点だろう。JR において客車列車がほとんど存在しない今日において,客車列車というだけでも注目度が高いのに,重連となればなおさらだ。

 乗車したのは初日の往路(水戸→常陸大子)の列車。水戸駅に到着後,すぐに「DLすいぐん」が入線してきた。

快速「DLすいぐん」号。DE10-1654+DE10-1604+12系。

 ヘッドマークのない赤色の DE10 形の重連に,青地に白帯の12系客車。国鉄時代からタイムスリップしてきたようないでたちだ。今回の「DLすいぐん」号は鉄道開業150周年記念および,2023年秋の茨城プレデスティネーションキャンペーンの企画として実現したものだそうで,水郡線でDE10が重連で運転されるのは初めてらしい*1

 注目度の高さから,「DLすいぐん」が停車するのと反対側のホームは,「DLすいぐん」を撮影する人でいっぱいだった。特にこちらのホームにはしばらく普通列車が止まっていて,編成全部を撮ることはできない。編成を収める写真を撮れるのは普通列車が出ていったあと,乗車する「DLすいぐん」が発車するまでのわずか数分間。なんとか人垣をかきわけて辛うじて一枚撮影できた(上記右)。

「DLすいぐん」号の客車内。

 「DLすいぐん」号の客車は青色のモケットのボックスシートが並ぶ,群馬の12系客車。国鉄当時のままの姿ではないのかもしれないが,なんとなく懐かしい感じがする。

 DE10が甲高い汽笛を長く鳴らして,水戸駅を発車。駅員や鉄道マニアたちに見送られながら,ゆっくりと加速。カーブをまがって進路を北へ。那珂川をわたり,田んぼや畑が目立つ水郡線ののどかな車窓を楽しむ。

 常陸太田方面への乗り換え駅である上菅谷で客扱い後は,45km先の常陸大子まで時刻表上ノンストップだ。まさに急行列車のような俊足で,「DLすいぐん」号は水郡線を駆け抜ける。

DE10重連の迫力を車窓から満喫*2

 常陸大宮を通過すると,徐々に山間部へ入っていく。しかし列車の速度は衰えない。カーブにさしかかると,重連のDE10が排気ガスを吐きながら12系を牽引する姿を見ることができた。この力強いDE10のパワーを感じられるのは,「DLすいぐん」に乗車した人にしか味わえない。

 常陸大子の2駅手前の上小川で交換待ちの運転停車をしたあと,列車はさらに山深く,久慈川に沿って走るようになる。「DLすいぐん」は観光案内は控えめで,久慈川をゆっくり眺められる徐行運転もごく一部の区間に限られていた。だがこの「DLすいぐん」に乗っているのはDE10重連の客車列車に乗りたいマニアたちであることは自明なので,企画側もわかってそうしているのだろう。

「DLすいぐん」の乗車票(指定席用)

 なお,今回私は旅行会社のツアー利用で乗車。私のまわりの席はみな同じツアーの参加者たちだった。私たちは夫婦で参加したが,旅行会社が別のご夫婦の参加者と同じボックス席にしてくれたので,落ち着いて乗車できた*3。マニア列車では,狭いボックスを見知らぬマニアと膝つき合わせて乗車する気まずさも少なからずあるので,このような配慮はありがたい。

常陸大子駅に到着

 あっという間の2時間弱の乗車で常陸大子駅に到着。常陸大子駅は「DLすいぐん」に乗車してきた客でかなり賑わっていた。ささっと記念撮影をして,袋田の滝に行くべくツアーのバスに乗車し常陸大子駅を離れた。

 

 「DLすいぐん」は機関車のヘッドマークがなく,観光案内も少なめという飾り気のない列車だったが,列車そのものを楽しむマニアにはこれが十分で,むしろ心地よい感じすらあった。おそらく企画側もある程度わかっていて,列車やダイヤを編成したのだろうと想像がつく。

 水郡線は今年の3月に「水郡線復旧記念感謝」号に乗車して以来だったが,この「水郡線復旧記念感謝」号も12系での運転で,ホイホイつられて乗車したのだった。水郡線ではマニア向けの企画がちらほらと行われているようなので,またなにかおもしろい企画があれば参加してみたいと思う。

*1:水郡線で「重連」の特別列車初運行 鉄道ファンでにぎわう|NHK 茨城県のニュース:2022年12月6日閲覧。

*2:ライブビュー機能を使って撮影

*3:ソロ参加者はソロでボックスを固めていた