きっぷ片手に旅をする

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COVID-19 禍の中のお座敷電車 お座敷青梅奥多摩号

 お座敷電車「華」は主に団体輸送に使用されるジョイフルトレインです。485系電車の改造で,現代の JR 東日本管内では数が少なくなってきた国鉄電車の残滓のひとつです。

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お座敷電車「華」(2019.12.07撮影)

 団体輸送のほか,多客臨時列車でも使われることがあり,初日の出列車や青梅線方面への行楽輸送などに使われています。全車グリーン車で,車内は6人がけ~8人がけの座敷の掘りごたつテーブルがあり,車内はもっぱら飲酒・飲食を伴う宴会が開かれるが常という感じの電車です。

 COVID-19 禍により多数の人が密集・密接・密閉した環境は避けられてきていますが,2020年・2021年の多客臨では「華」は夏から秋にかけての週末に青梅線方面の行楽輸送として三鷹・川崎~奥多摩間で快速「お座敷青梅奥多摩号」として何度か運転されました*1

 筆者は「華」そのものは団体列車や多客臨で何度も乗っていますが,国鉄電車もお座敷電車も貴重な存在になっており今後どうなるかわからないこともあり,今年の夏に御岳山観光の往復の足として使用しました。

お座敷青梅奥多摩号(三鷹発)

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 今回取り上げるのは三鷹発の「お座敷青梅奥多摩号」です。下り方面への列車ですが三鷹駅は上り東京方面のホームに入線。駅係員が乗車案内札を持って案内していました。

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車内の様子(帰り)

 いざ車内に乗り込んでみると,あれ……あまり人がいない……。始発の三鷹駅だからかと思ったが,立川を出て青梅線に入っても「満席」とは程遠く,定員の半分以下くらいの感じの乗車率です。指定席の発売はほとんど×から△だったはずだが……。

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お座敷青梅 奥多摩号 の普通列車用グリーン券

 2020年のプレスリリースには,「車内混雑を緩和してお客さまに安心してご利用頂けるよう、定員の5割程度を上限として発売」するとあり,車掌の座席チェック表をチラ見した感じでも隣り合う座席は発売していないようでした。満席状態での「華」の臨時列車に乗ったこともありますが,その状態だと車内を移動をするだけでも大変なほど「密」になるので,その対応は感染対策としては当然かと思います。

 そのほか,消毒用アルコールの設置はありましたが,テーブルにはパーテーション等の設置はありませんでした。

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カラオケ設備は使用停止中

 「華」には団体列車運用時に使われるカラオケ設備があります。もはや珍しくなった CRT モニタにカラオケ筐体が車端部に埋め込まれていますが,「コロナウイルス対策のため」使用中止しますと張り紙がありました。当然の対応だと思いつつ,この古の機器類が現役の設備なことにも驚きました……。

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御嶽駅に到着

 三鷹駅から御嶽駅までは1時間ほど。連れと静かに語らいながらのんびりしていればあっという間でした。ただここで残念な出来事が……。

 隣のテーブルに居合わせた8人程度のグループ客が飲食・飲酒を伴う宴会状態だったのです。もちろんマスクもしていません。席ひとつ分空けて座っているこちらはマスクをしていますが,なかなか居心地の悪い空間です。お座敷電車に初めて乗ったという連れのお座敷電車に対する印象は,残念ながら最悪のものとなってしまいました。

 帰りの電車ではそのようなグループとは居合わせず,飲食・飲酒を伴う旅客がいたとしてもかなり静かでした。指定席割り当ての「引き」が悪かったとしか言いようがありませんが,これからお座敷電車の乗車を検討している方で感染対策が気になる方は乗車を控えたほうが良いと思います。運行する JR 東日本も指定席発売数制限に加えて車内ルールを定めてアナウンスするなり注意するなりが必要ではないでしょうか。

 

過去のお座敷青梅奥多摩号の記事はこちら▼ 

ashizin.hatenablog.com

*1:2021年は中央線山梨方面への臨時列車の設定もあり