「スペーシア八王子きぬ」号は八王子~(武蔵野線経由)~鬼怒川温泉間で運転される臨時特急だ。同じく八王子発で日光行きの「スペーシア八王子日光」号とあわせてシーズンごとに何日か散発的に運転されていた。
9月23日に運転された「スペーシア八王子きぬ」号に乗車してきたので簡単にレポートしたい。
列車名 | 八王子 | 立川 | 新秋津 | 北朝霞 | …*1 | 鬼怒川温泉 |
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スペーシア八王子きぬ | 09:40 | 09:53 | 10:11 | 10:21 | → | 12:16 |
16:20 | 16:10 | 15:54 | 15:43 | ← | 13:40 |
スペーシア八王子きぬ号 八王子→栃木
八王子駅に到着すると,すでに「スペーシア八王子きぬ」号は到着していた。特急「あずさ」やJRの通勤電車が行き交う八王子駅に,東武特急のかつてのフラッグシップである100系スペーシアが居るのは違和感しかない。30年前のものとは思えぬ未だに色褪せないデザインは,中央線ユーザの衆目を集めており,スマホなどで写真を撮る人も目立つ。
スペーシアは車内もバブリーで,現在の JR 東日本であれば有り得ない肉厚のシートに大きな窓がうれしい。しかし発車前から,車掌がしきりに「○号車のトイレと洗面台は水が出ません……」とアナウンスしている。この日だけの臨時列車なのだから修理してから八王子に送り込んでほしいなと思いつつ,100系スペーシアも製造から30年以上経っている電車で,いろいろなところにガタが来ているのだろうと想像してしまう。
八王子駅を空席多数で発車した「スペーシア八王子きぬ」は,オレンジ色の中央線電車とすれ違いながらしばらく中央線上る。立川で客扱いし,国立からは支線に入って武蔵野線へ。武蔵野線内でも新秋津と北朝霞で客扱いを行う。
武蔵野台地に似つかわしくないスペーシアの突然の登場に,ホームで普通列車を待っている人の目を丸くした姿が見える。武蔵野線内から乗ってきた人は「今日だけ鬼怒川温泉に行く特急が走っているんだ」などと言っている。東武東上線とクロスする北朝霞を出ると,JR 線内の客扱いは終了。車内を見渡すと6割~7割ほどで,空いてもなく混み合ってもいない,ちょうど良い乗車率だった。
西浦和から再び貨物支線を走り,大宮で運転停車して運転士交代。東北線に入ると定期列車の新宿発着「スペーシアきぬ」号などと同じルートで鬼怒川へ向かう。
このあと宇都宮方面に行く予定だったため,栃木で下車。栃木ではスペーシアXの浅草行きの列車と同時に発車していった。
乗車雑感
東武特急「スペーシア」は首都圏の東側からの集客が強みだったが,西側からの集客に課題があり,JR 東日本とタッグを組んで新宿乗り入れを実現させた。「スペーシア八王子きぬ」号はさらに集客エリアを西側にずらして武蔵野・多摩方面からの集客を企図した列車と思われるが,運転日がまちまちだった割には武蔵野線内からは意外と乗ってくる人が多かったように見え,スペーシアと日光・鬼怒川のブランド力の高さを感じた。
本文中にもあるように,100系スペーシアは見た目のわりに古い電車なので,そのうちスペーシアXに置き換わるだろう。まだ元気なうちに武蔵野線を走る「スペーシア」に乗れたのは貴重な体験だった。
なお,2023年秋臨からは「スペーシア八王子きぬ」「スペーシア八王子日光」の設定が無い。今後の運行計画にも注目したい。
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