- 種別:特急
- 列車名:あしかが大藤まつり号
- 運転区間:大船~桐生(東京・小山経由)
大型前後の休日を中心に特急「あしかが大藤まつり」号が運転された。栃木県にあるあしかがフラワーパークで行われる「大藤まつり」への行楽客の輸送がメインの臨時列車だ。
あしかが大藤まつり号は185系で運転される。神奈川県民の私にとってはついこの前(2020年3月)まで特急「踊り子」で東海道線で普通に走っていたので見慣れた存在だが,JR 全体を見渡してもかなり数を減らしてきた国鉄型特急電車の残党で,いまでは珍しい車両の部類に入る。すでに定期運用もなく,波動用車両としても E257 系がある以上はいつ廃車になってもおかしくなくオタクの注目度も高そうだ。
あしかがフラワーパークに行く用事はなく,この列車についてさほど興味もなかったのだが,大型連休中に埼玉方面に行く用務があり乗換案内を調べるとこの列車が一番ちょうど良い列車だったので,乗り鉄も兼ねて乗車してきた。
特急「あしかが大藤まつり」号(下り)
往路は用務の都合で横浜から浦和まで。東京を貫き東海道線から東北線へ直通する珍しい運行形態だからこそできることだが,横浜から浦和まで特急に乗るという機会もあまり無いだろう。
この列車が面白いのは都心のターミナル駅である品川・東京・上野で客扱いを行わずスルーし,神奈川から都心を通過して北関東方面へ直行してくれるという特殊な運行形態をとっているところだ。横浜を出ると浦和までドアは開かない。横浜~東京間のような短距離利用をおさえ運賃収入を確保しつつ,幅広いエリアからの集客を図っているのだろう。実際,浦和では私以外にも下車した利用者はそれなりいて,入れ代わりで同じくらいの旅客が乗車した。よく考えたものである。
185系の重厚なモータ音を響かせて横浜を発車。しばらくすると車掌が回ってきて一席ずつ乗車券類の検札をしてきた。この時点では2020年までの「踊り子」とまったく同じ光景が広がっていて*1ちょっと懐かしい気持ちになった。
列車は東京で運転停車後,上野を文字通りに通過し,東北線を快走。浦和には定刻で到着した。
特急「あしかが大藤まつり」号(上り)
用務を終えて大宮駅に行くと,ちょうど「あしかが大藤まつり」号が戻ってくるところだった。えきねっとで空席を確認すると窓側が空いていたので迷わず座席を確保した。
帰りも大宮を出ると浦和に停車したら横浜までドアは開かない。浦和を出たあたりでしっかり車掌が検札にきたのでJR東日本にしてはしっかりと不正乗車対策をしている。
9054M あしかが大藤まつり号大船行きに乗車。
— ashizin (@ashizin) 2023年5月3日
帰りも窓側が空いていたのでこちらで帰宅。
車両は行きと同じく185系B6編成。
W7系・N700系と共演しながら東京駅を通過。 pic.twitter.com/Z8sVgbebjx
行きと同様に東北本線を快走し,今度は上野に運転停車後,東京を通過した。北陸新幹線W7系と並走しつつ東京駅に入線,そのままホームを通過して東海道新幹線N700系と並走するシーンは定期列車の運行形態を鑑みれば考えられず,かなり違和感のある車窓だった。
乗車雑感
使用車両が185系であることや東京をスルーする特殊な運行形態はオタク心を満たすには十分で,用務のついでとはいえなかなか貴重な体験だったと思う。なおこの臨時列車の設定理由であるあしかがフラワーパークの藤は4月中旬には見頃を迎えていたようだ。
ちなみに2021年まで快速であった当列車だが今年は特急になっている。大型連休などに設定される最繁忙期料金も適用されて,料金だけで5倍以上にハネあがった*2わけだが,列車は満席でJR東日本としてはホクホクだ。コロナ禍もほとんど落ち着いてきたが,これに味をしめて以前のように快速で運行される臨時列車はほとんど無くなるのだろう。
それからすこし気になったのは,185系で運転することもあってオタクの割合が高く民度が低かったことだ。駅で走り回るオタク,デッキを塞ぎ録音に興じるオタク,譲り合いを知らず通路を突進してくるオタク……このあたりにしておくが列車や駅は公共空間であることをわからない人がどうにも多いようだ。
全体的に中学生とか高校生くらいのオタクが録音や撮影を楽しんでいたようだが,185系が「踊り子」から離脱して早3年め。この車両しか国鉄型を知らないキッズも多いわけで,機会があるかどうかわからないが,今後も185系に乗るとこのような光景を目にせざるを得ないのだろうか。。
*1:2020年3月からの「踊り子」はE257系で運転し,検札も省略している
*2:横浜~あしかがフラワーパーク間で比較。快速では530円,特急では2,790円。