きっぷ片手に旅をする

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ありがとうキハ85系南紀号 乗車記

 2023年6月30日をもって特急「南紀」からキハ85系が撤退し,7月1日からはHC85系により置き換えられている。先にHC85系に置き換えられていた特急「ひだ」とあわせて,6月末日をもってJR東海からキハ85系の定期運用は無くなった。

ありがとうキハ85系南紀特急券
 それに際して,置き換え前最後の週末である6月24日・25日にキハ85系を用いて名古屋〜新宮間で臨時特急「ありがとうキハ85系南紀」号が運転された。途中駅での客扱いは無く,時刻表上はノンストップだ。

 先頭車をパノラマグリーン車にした特別な編成が組まれ,紀勢線特急「南紀」にパノラマグリーン車が入るのは2001年以来22年ぶり。さらに列車番号は下りが 9085D ,上りが 9084D とキハ85系にちなんだ番号になっていて,事前情報だけでもマニアを思わず唸らせる内容になっていた。グリーン車はツアー専用,普通車は一部がみどりの窓口等で一般発売された。

ashizin.hatenablog.com  以前,このブログでも取り上げたがキハ85系は筆者が好きな鉄道車両のひとつ。せっかくなので最後に乗車しようと10時打ちに挑戦し,運良くその特急「ありがとうキハ85系南紀」の特急券が取れたのでレポートしたい。

ありがとうキハ85系南紀

ありがとうキハ85系南紀
 今回乗車するのは24日復路の名古屋行き。定期列車と比べると特急「ありがとうキハ85系南紀」のほうは車体がピカピカで,この日のためにJR東海が気合を入れて準備してきたであろうことが外から見るだけでわかる。 

 新宮を発車するといわゆるワイドビューチャイムとともに,案内放送が入る。今回の列車は運転士・車掌のほかに,多気まで伊勢運輸区のキハ85系に思い入れのある乗務員が乗務しているそうだ。さっそくその乗務員の方々から「ありがとうキハ85系南紀」号にちなんだ記念乗車証やクロスワードパズル(なぜ?)が配布された。

公開された車内販売準備室の内装
 その後も車内でのイベントもキハ85系の引退にまつわるものが多く,通常のワイドビューチャイムに加えて2種類存在する音色違いのチャイムが披露されたり,20年以上使われていない車内販売準備室が公開されたりした。ワイドビューチャイムのほうは動画サイト等で聴くことができるが,キハ85の車販準備室の中身は今後見ることが無いだろうから貴重な光景を目にすることができた。

南紀キハ85らしく,オーシャンビューを横目に
 「ありがとうキハ85系南紀」号はイベント列車ということで景色の良いところでは徐行運転するシーンもあった。通常の「南紀」ではゆっくり見られないので,キハ85から太平洋の車窓をゆっくり眺められるのも,この列車に乗り合わせた人だけの特権だ。

名古屋駅にて
 上りの「ありがとうキハ85系南紀」号は臨時「南紀」83号とほぼ同じダイヤで運行されるが,まったく同じスジをなぞるのではなく,列車交換など運転上停車が必要な駅を除いて,四日市などの特急停車駅であっても「通過」していた。そのため車内のイベントに参加しつつキハ85系からの車窓をゆっくり眺めていれば,新宮から名古屋までの4時間の旅はあっという間。終点の名古屋に近づくと,JR東海の職員からのキハ85系への餞の言葉が送られ,これでもかとワイドビューチャイムを鳴らして,名古屋駅に滑り込んだ。


 キハ85系は7月9日に行われるツアー専用メモリアルイベントがJR東海でのラストランとなる。一方で,キハ85系4両が京都丹後鉄道に移籍し,線内特急の予備車として活用される予定。JR東海管内から引退してしまうのは残念だが,機会があれば京都丹後鉄道で活躍するキハ85にも足を運んでみたい。


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