東海道新幹線の全般検査等を担う「JR東海 浜松工場」の見学ツアーが開催されたので参加してきた。「JR東海 浜松工場へGO」という名のもので,ツアーに参加した人のみが工場内に入って見学できる。今回は東海道新幹線開業60周年でドクターイエローが2編成展示され,車内見学もできるとのことなので参加してきた。
ひかり537号(団体専用列車)新横浜→浜松工場
東京都内や神奈川県からはツアー用の団体専用列車に乗車して浜松工場へ直行する。きっぷはツアー開始の1週間ほど前にレターパックで送付されてきた。マルス券の○契乗車票だが,列車名の表記が「ひかり」537号となっていた。きっぷマニア的には団臨にも「ひかり」の列車名が付与されることは興味深い。
東京発の「ひかり」537号(団体専用列車)に新横浜駅から専用列車に乗車して,一路浜松工場へ。専用列車は N700S 系で運行され,新横浜駅を出ると浜松駅まで停車しないことや,車端部の電光掲示板に何も表示がないことを除けば,いつも乗る東海道新幹線とあまり変わらない。ちなみに,乗客は子供連れとそうでない人に分けられ,子どもがいない我々が着席した車内は朝早いこともあり静まり返っていた。
浜松駅で客扱いを行ったあと,浜松駅から豊橋寄りに 3km ほど先にある引上線で一旦停車。ここで進路を反対方向に切り替え,浜松工場へ。まずここで最初のイベント,新幹線で唯一の踏切を新幹線に乗って体験する。さきほどまで 285km/h で走っていた新幹線が歩くような速度でゆっくりと踏切を通過していく。と書くと貴重な感じもするが,山形新幹線などではよく見る光景なので,思ったほどの新鮮さは無い。
東海道新幹線唯一の踏切を通過して浜松工場内へ pic.twitter.com/DJAeFjDmkf
— きっぷ片手に旅をする@あしがらさん (@ashizin) 2024年10月18日
専用列車はそのまま検修庫に収まり,いざ見学へ。
ドクターイエロー(923形)T4/T5 編成展示
今回のメインイベントはドクターイエロー T4 編成と T5 編成の同時展示であろう。JR東海所有の T4 編成は2025年1月に,JR西日本所有の T5 編成は2027年に引退が報道されている。2編成を同時に,しかもこれほど間近で見られる機会はこれが最後だと思われる。
ドクターイエローは縦並びに展示。少し離れたところから見れば7両編成のドクターイエローが2つ連なり,あたかも14両編成になっているようにも見えた。
ドクターイエローの車内はどうなっているのか
今回の見学イベントはドクターイエローの車内見学ができる。ドクターイエローを撮り鉄したことは何度かあるが,駅で見てもブラインドが固く閉じられ中の様子はうかがい知ることができない。そういった意味で車内の見学ができるのは非常に貴重だ。
見学ができるのは T4 編成または T5 編成のいずれかであったが,私は T4 編成のほうであった。ではいざ車内へ。
……せっかくなので写真を撮ってアップしたかったのだが,残念ながらドクターイエロー車内の撮影は禁止。テキストのみでご容赦いただきたい。
ドクターイエローの車内を見て思ったことは「新幹線の車内にひと昔のオフィスがある」ということだ。薄暗い蛍光灯がくすんだ化粧板を照らし,サーバラックのような機器を収納する箱や,巨大な検査機器のモニタ等が鎮座する。いかにも会社の給湯室にありがちなシンクもある。お手洗いや7号車にある座席は昔の700系のままであった。検測車両として特徴的な機能としては,有名なパンタグラフの観測ドームや,高圧電力を解析する高圧室などは見ごたえがあった。
ここではドクターイエローの役割についての説明は省略するが,あくまでドクターイエローの車内は保線業務のためのオフィスなのであり,そこに飾り気は無かった(機器の一部に Dr.Yellow のロゴがあるくらい)。……ドクターイエローは見ると幸せになるという都市伝説(?)もあるのに,夢のない話となってしまった。
あとがき
このほか,浜松工場ではトラバーサに載った新幹線 N700 系を横移動するところを見学したり,検修庫内で新幹線車両を下方から見学したりすることができ,そもそも線路に近づけない新幹線車両の細かいところまで見ることができるのはかなり貴重な経験であった。ツアー代金としては正直かなりいい値段がしたのだが,終わってみれば満足のツアーとなった。
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