きっぷ片手に旅をする

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JR七尾線観光列車「花嫁のれん」号乗車レポート

 時系列的には前回・前々回の記事の続きとなる。「のと里山里海」号を穴水で下車したあと,行程の都合で奥能登観光はせず和倉温泉駅まで普通列車で戻る。

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 和倉温泉駅からはJR七尾線の観光列車「花嫁のれん」号に乗車する。

 特急「花嫁のれん」号は金沢〜和倉温泉間で1日2往復運転されている観光列車だ。その名前の由来は能登・加賀・越中で江戸時代末から見られる,嫁入りする娘に対して幸せになれるよう願ってのれんを贈ったことにちなむという。

花嫁のれん」号

 列車はキハ40系を改造した専用車両の2両編成。第一印象では漆塗りの重箱のような高級感のある車両だなと思っていたところ,同行の知人が「スーパーで売っている寿司のパックだ」などと言っていたせいでそのようにしか見えなくなった。

 列車内の座席も高級感のある内装で,2人がけ,3人がけ,4人がけのテーブル席のほか,窓に面したカウンター席もあり,1号車のテーブル席は半個室風に。おひとり様からグループまで,さまざまな旅のスタイルに対応している。

花嫁のれん」号の車内の様子。左は1号車,右は2号車。

 JR西日本の観光列車は窓枠があっていない「ハズレ席」がよくあるのだが,花嫁のれん」については2号車4A番,2号車5A番は視線の先が窓ではないハズレ席だ。また,えきねっと・e5489などのネット予約が可能だが,シートマップからの選択ができない。希望の席が決まっていればみどりの窓口等での座席指定が無難だ。

 また,半個室風の席でも個室単位の発売ではなく1席ずつの発売となるため,発売状況によっては他グループと相席になりうるので注意したい。

2号車4A番(中央)はハズレ席。私が利用したのは右隣の2号車4B番。

 今回は和倉温泉を昼過ぎに発車する「花嫁のれん」2号に乗車。私がみどりの窓口で指名買いしたのは窓に面したカウンター席の2号車4B番で,ハズレ席を外したので景色もまずまず。

 七尾を発車するとあらかじめ予約しておいた和軽食セットが到着。軽食といっても,金沢にある老舗高級料亭「大友楼」が調製した高級感のあるお弁当で,ランチとしてはほどよいボリュームになっている。七尾線の車窓を見つつ地元食材をふんだんに使ったお弁当をいただけるのはなかなか良い体験になった。

花嫁のれん」号の和軽食セット

 このお弁当をいただくには乗車4日前までに予約が必要だ。以前はみどりの窓口で「花嫁のれん」の特急券を購入するのと同時に食事券として購入できたが,2023年春からはJR西日本の tabiwa というサービスから予約する必要がある。席は紙のきっぷなのに食事はオンラインというシームレスではない予約方法は,片手落ち感があり非常に残念だ。みどりの窓口での発売を再開するか,e5489 等で座席指定できる状態でチケットレス予約ができるようにしてほしい*1

 列車は1時間15分で金沢に到着。「花嫁のれん」2号は列車内や途中停車駅での体験イベントは車内での記念撮影などを除いて特にない。アテンダントのおもてなしも「花嫁のれん」の特徴であったが,和倉温泉の旅館「加賀屋」のスタッフからJR西日本のスタッフに変わったことも影響しているのか,特に良いとは思わなかった。お弁当がなければ手持ち無沙汰になるかもしれない。

乗車雑感

 「花嫁のれん」号は,内外装の高級感から期待されるほどのサービスは(お弁当を除いて)なかった。車窓についても,七尾線の田園風景は「花嫁のれん」号の貴重な観光資源であるが,のと鉄道区間で見られるような里山・里海の景色などはあまりない。また,車内での体験がないほか乗車時間も短く物足りなさも感じた。

 2024年元日の能登半島地震により,現在も「花嫁のれん」は運休している。こうして記事を書いているうちにJR七尾線の復旧は進み,2月15日には七尾・和倉温泉間が復旧してJR七尾線は全線復旧となるが,「花嫁のれん」の再開は未定だ。当初の計画では北陸新幹線敦賀延伸にあわせて運転日が増えたり,食事メニューが選べるようになったりするようだ。


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*1:e5489 でチケットレス予約することは可能だが,シートマップからの座席指定ができない