きっぷ片手に旅をする

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のと鉄道「のと里山里海」1号乗車レポート

 時系列的には前回の記事の続き。

ashizin.hatenablog.com

 2023年12月,大阪から特急「サンダーバード」17号で和倉温泉に到着した私たちは,そのまま和倉温泉の温泉宿に宿泊した。

 和倉温泉も今回の能登半島地震で例外なく大きな被害を受けた。私が宿泊した小さな温泉宿はリノベーションされていたが,構造としては古そうな構造の建物だった。宿泊した温泉宿が地震によってどのくらい被害を受けたのか,いまでは知るすべがない。

和倉温泉駅

 翌日,和倉温泉を宿を出てふたたび和倉温泉駅へ。この日はのと鉄道の「のと里山里海」1号に乗車する。

 のと鉄道は七尾~和倉温泉~穴水間*1で運行されている第三セクター鉄道だ。旧国鉄七尾線能登線を引き継ぎ,かつては能登半島の先端,奥能登にある輪島市珠洲市まで線路を伸ばしていたが,その後の経営悪化により穴水から先の輪島・珠洲方面が廃線になり,今に至る。

 「のと里山里海」はそんなのと鉄道で2.5往復運行されている観光列車だ。

「のと里山里海」1号 和倉温泉駅にて

 「のと里山里海」は「里山車両」(NT301)と「里海車両」(NT302)の2両編成で運行されることが基本だ。このときは「里山車両」が重要部検査中で運用から外れていたため,里海車両+普通車両の2両編成で運行され,普通車両は締切となっていた。

のと里山里海号の乗車(料金)券

 「のと里山里海」は通常 WEB で予約可能だが,現在は感染症対策のため電話予約のみとなっていて,乗車人数にあわせてボックス席やカウンター席など,相席にならないよう座席の割り振りが行われていた。「のと里山里海」は乗車のみのプランや食事つきのプランなどあり,それぞれのプランに応じて乗車券のほかに料金が必要だが,乗車のみのプランであれば当日乗車時に料金を支払えば良い。

「里海車両」の車内。6人がけ海向き席に着座。
右画像は能登中島~西岸間にある中島町深浦の漁村が見れるビュースポットにて。

 里海車両は青色基調の座席になっていて,能登内浦の穏やかな海の車窓とよくマッチしている。私達が着席したのは「里海車両」に1ボックスだけある6人がけの海向き席。山側に配置されているが床面が少し高くなっているため,海向きカウンター席に座っている人ごしに能登内浦の景色がよく見えた。

能登中島駅で13分停車して郵便車の見学ができる

 「のと里山里海」1号は能登中島駅で13分停車。当駅で静態保存されている鉄道郵便車オユ10 2565の車内見学ができる。郵便車の内部をまじまじと見る機会はなかなか無く,車内で郵便物を仕分けるところがあるなど,現代の鉄道には無い設備を興味深く見学できた。

特別な風景印

 オユ10 2565には観光客向けにポストが設置されている。私も「のと里山里海」車内で配布されていたポストカードに乗車記念スタンプを捺して自宅に郵送した。到着まで時間がかかったが,ポストカードはオユのポストに投函しないと捺されない特別な風景印で消印されていた。

車窓から見える「ボラ待ちやぐら」

 能登中島駅を発車した「のと里山里海」1号は能登中島~穴水間に3箇所あるビュースポットで停車しながら,穴水へ。車窓には能登内浦と漁村の町並みが映り,天気は悪いが癒やされる風景であった。途中駅の能登鹿島駅では,ホームに一面の桜が咲くのだという。今回の能登旅行は乗り鉄仲間との旅行であったが,嫁とは北陸新幹線延伸開業後に能登に行こうと話をしていてから,来春に能登鹿島駅の桜を見に嫁とのと鉄道にまた乗るのも良いななどと,車窓に思いを馳せた。

穴水駅に到着

 やがて列車は終点の穴水駅に到着。アテンダントの方のお出迎えを受けながら,列車を降りる。和倉温泉駅から55分とやや物足りなさはあるが,美しい能登の風景と郵便車見学ができて満足の列車旅となった。

あとがき

穴水駅

 のと鉄道能登半島地震によって大きな被害を受けた。七尾~能登中島間については2月中旬の運行再開を見込んでいるが,能登中島駅~穴水駅間については運行再開の見込みも立っていない(1月26日時点)。のと鉄道Facebook を見ると,べこべこになった穴水駅ロータリーやホーム,歪んだ線路など,悲惨な被害状況を示す写真が投稿されている。

 能登中島駅の桜が咲くころに列車はまだ動いていないかもしれないが,全線運行再開のあかつきには,またのと鉄道「のと里山里海」号に乗って能登の旅に行こうと思う。


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*1:七尾~和倉温泉間は JR 西日本との共用区間