きっぷ片手に旅をする

公共交通利用が中心の旅行記がメイン。月3回程度のペースで定期更新中。

紀伊半島縦断 長距離路線バスの旅 ~ Day1 世界遺産「湯の峰温泉 つぼ湯」へ

 6月中旬のとある日に大阪でのライブ参加の予定があり,そのついでの旅行を検討していました。いろいろと考えた結果,熊野にある世界遺産の温泉「湯の峰温泉 つぼ湯」の訪問と,長距離路線バス「八木新宮線」で紀伊半島を縦断する旅に出ることにしました。

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今回の旅行ルート。地理院地図に筆者書き込み。

熊野交通 [53] 新宮駅湯の峰温泉

  東京から夜行バスと紀勢線を乗り継いで新宮へ。途中での観光や紀勢線の輸送障害などのトラブルもあり,新宮に到着したのは昼過ぎ。まずは熊野三山のひとつ速玉大社にお参りして旅行の無事を祈ります。

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熊野速玉大社

 その後は新宮市内をぶらついた後,新宮駅前から発車する熊野交通バスで今夜の宿「湯の峰温泉」を目指します。同じ新宮駅前から八木新宮線が発車していますが,当路線の八木大和駅ゆきは午前中に最終便が出てしまいます。そのため同じルート*1を走行する熊野交通53系統「湯の峰温泉経由本宮大社前」ゆきに乗車します。

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新宮駅から熊野交通53系統(左)に乗車

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湯の峰温泉まで40km弱

 新宮駅を出て新宮市街を抜けて,紀伊半島を縦断する国道168号線へ。きょうの目的地,湯の峰温泉まで40km。40kmでも路線バスで行く距離にしては長い部類に入ります。さらに翌日「八木新宮線」で乗車して八木に向かう途中の五條は135kmも先。東京から三島まで行くより長い距離です。かなり気の長い旅になりそう。

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下流域でおだやかな熊野川熊野川に沿って進んでいく。

 梅雨空で残念な天気の中,バスは熊野川に沿って本宮に向かって進んでいきます。バスは新宮の高校から帰り道の高校生と自分のみで,途中の乗降もわずか。ひたすら本宮に向かって突き進む。

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湯の峰温泉のあたりまでくると,バスは狭隘路へ

 川原を掘ると温泉が出てくる「川湯温泉」や露天風呂が有名な「渡瀬温泉」を過ぎるとバスは狭隘路へ。運転手の華麗なハンドルさばきでスイスイと進んでいく。湯の峰温泉に到着したのは新宮を出てから1時間半経ったころでした。

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湯の峰温泉に到着

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湯の峰温泉の風景

 湯の峰温泉でバスを降りるとほのかな硫黄の香り。バスを下車して思ったのはアジア系・欧米系問わず外国人観光客が多いこと。小さな温泉街であるものの,世界遺産ということもあってか訪日客にも注目されているようです。

湯の峰温泉 つぼ湯 へ

 湯の峰温泉は谷筋の狭い土地に密集して立地する温泉街で,中心を流れる湯の谷川のほとりから源泉が湧いています。この湯の峰温泉にある「つぼ湯」は1800年の歴史を持つ温泉で,中世以降は熊野詣で本宮大社に参詣する前にこの湯で身を清めたとされ,世界遺産に指定されています。今回湯の峰温泉に来たのはこの温泉に入浴することが目的でした。

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つぼ湯

 つぼ湯は30分の貸切制で,現地に赴いて予約の申し込みをしなければいけません。この日は偶然にも空いていて1組30分待ちで済みましたが,のちほどこの日宿泊した民宿の女将さんいわく数時間の待ちになることもあるそうです。

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つぼ湯 中は2人までしか入れない

 「つぼ湯」に入ると強い硫黄臭。小屋のような建物の中はお湯が湧き出る"つぼ"の部分と脱衣所のみ。つぼの部分はかなり小さく,大人2人入るといっぱいになります。その青みがかったお湯は熱くまたとても濃い,とても癒やされる温泉です。のぼせそうになりましたが,30分の入浴時間でたっぷりこのお湯を楽しみました。

 この日は湯の峰温泉の温泉民宿で宿泊。翌日はこの湯の峰温泉から大和八木に向けて「八木新宮線」の旅へ。

(つづく)

*1:八木新宮線は新宮~本宮大社前間で主要バス停に限って停車するため,熊野交通53系統のほうがバス停数は多い。