きっぷ片手に旅をする

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台湾鉄道一周ひとり旅(6) 高雄捷運環狀輕軌(高雄ライトレール)に試乗する

訪問日 2015.11.17

前回の記事の続き

次の目的地は台湾初の路面電車でかつ開業前の試乗運行が行われている高雄ライトレールの乗車。運行区間は高雄市南部の一部区間で,試乗運行区間へのアクセスは高雄捷運紅線の凱旋(Kaixuan)駅で乗換え。高鐵を降りて左営から紅線に乗車しまずは凱旋駅を目指します。

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 高雄捷運紅線は2008年に開通したばかりの比較的新しい鉄道。構内は密閉型のホームドアが設置され,バリアフリーも充実していてかなり現代的な設備になっています。

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 そんな高雄捷運ですが高捷少女という萌えキャラを公式に持っていて*1車内や駅構内の啓発ポスターに積極的に萌えキャラが使われています。高雄捷運は「萌えにも寛容そうな台湾」という自分の勝手なイメージにピッタリw

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 駅構内飲食禁止のポスター。同内容のポスターですが左右で全くイメージが違います。

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 凱旋駅の構内にも等身大の二次元お姉さんによる案内が。

 凱旋駅では交通系ICカードである一卡通(イーカートン)を購入。同様のICカードである悠遊卡を既に持っていましたが,日本のSuicaが東日本中心でICOCAが西日本中心のように,台湾でも交通系カードの利用可能エリアがあり,一卡通は台湾南部を中心に通用しています。そして今回の高雄ライトレールの試乗ではこの一卡通の使用が必須でした。

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 凱旋駅を出てすぐのところにライトレール乗車駅までの送迎バス乗り場のテントが出ていました。今回の旅行で初めての大都市訪問となりましたが,やはりバイクの多さに圧倒されます。

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 帰りに撮った写真ですが,前面表示に「輕軌 試営運」(ライトレール試験運行),「免費接駁車」(無料送迎バス)とあるようにライトレールの駅まで無料で乗車できます。高雄市バスの運行会社のひとつ,漢程客運による運行。

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 高雄ライトレールの起点,籬仔内(Lizinei)駅に到着。ここからライトレールに乗車します。試験運行では基本的に乗車の予約をした人のみが乗車できますが,席が空いていれば予約なしでも乗車できます。平日午後で空いていたせいか,係員に特に声をかけられることなく乗車できました。

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 高雄ライトレールは高雄臨港線の転用であることから専用軌道を有していて,軌道は緑化され街路樹の立ち並ぶ沿線に調和しているように見えます。またなんといってもこの架線の無いすっきりとした景観。停車中に駅構内にあるわずかな架線から集電し,走行中は蓄電池を利用する方式になっています。架線レスの路面電車は世界初なんだとか*2

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 発車まで時間が有ったので車両回りを適当に撮影。車両はCAF製。といってもまったく存じないメーカーですが欧米向けの鉄道車両を製造しているスペインのメーカーのようです。

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 ちなみに試乗運行に使用される車両は2編成あるようで,片方は魔法少女iPass*3の小帕ちゃんやデフォルメされた高雄市長のラッピングがされていて,「車内かホームでICカードをタッチしてね!」とか「乗車する時はボタンを押してください!」なんて書かれています。路面電車の無かった台湾ではICカード簡易改札も半自動ドアも無かったんじゃないでしょうか。私も乗り込む時にドアが閉まっていて固まっていたら係員に「ボタンを押して開けてください」と案内され乗り込むことができました。なお今回はラッピングされていないほうの車両が試験乗車用となっていました。

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 車内はこんな感じ。車両は5連接で1編成の車体長は34.6mとなっていて、かなりの輸送力があります。広島電鉄グリーンムーバーなどは同じ5連接でも30m程度の車体長なのでそれより長いことになります。座席配置は”非”字とロングシートのみのミックス。列車は動き出すとかなりの加速度でぐんぐん速度を上げてあっという間に最高速度の50kmで走行。揺れもすくなく快適でした。ただ,道路との交差部分に警報機はあっても遮断機はなく係員が交通整理をしている状況で,バイクや自動車の直前横断も頻発。道路を横断する際はかなり徐行していました。

 籬仔内から4駅先の凱旋中華まで行ったところで折返し。体験乗車なので折返し地点での下車は不可でした。ここで乗降できれば紅線の凱旋駅にかなり近くて便利なのですが(苦笑)。

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 高雄ライトレールは現在も本格的な運行に至っていませんが,2016年中にはさらに試験運行区間が拡がるようで今後の動きに期待したいところ。ただ,先述したように台湾で初めてとなる路面電車なので,バイクが非常に多い高雄の交通事情を加味したうえで慎重な安全対策も必要かなと感じられます。 

 このあとは瑞豊夜市などを散策して市内のドミトリー泊。

(諸事情により台湾編はこの記事を以って更新終了とします)