きっぷ片手に旅をする

公共交通利用が中心の旅行記がメイン。月3回程度のペースで定期更新中。

「尾瀬夜行23:45」でゆく尾瀬ヶ原トレッキング

 「尾瀬夜行23:45」は6月から10月中旬にかけて東武鉄道が登山者向けに運行している片道のみの夜行列車だ。個札(駅や券売機などでのきっぷ発売)は無く,東武トップツアーズが発売している,列車と接続バスに乗って尾瀬の登山口まで直行できるプランを申し込むと尾瀬夜行を利用できる。

 列車名は浅草発の時間(23:45)からとったもので,2021年までは「尾瀬夜行23:55」だったが,2022年からは10分繰り上がり現在の名称になっている。

 4シーズンぶりに「尾瀬夜行」を利用して1泊2日の尾瀬トレッキングに行ってきたので,このブログでは乗り物部分について軽くレポートしたい。トレッキングについては記事の後半に登山アプリ YAMAP へのリンクがあるのでこちらを参照してほしい。

 前回の記事はこちら ashizin.hatenablog.com

 兄弟列車のスノーパル23:55についてはこちら ashizin.hatenablog.com

尾瀬夜行23:45のきっぷ手配

 今回は嫁と1泊2日で山小屋に泊まりつつ尾瀬ヶ原のトレッキングをする。「尾瀬夜行23:45」を利用するので,福島県側の沼山峠から尾瀬に入り,尾瀬ヶ原の外れにある尾瀬温泉小屋で宿泊,翌日は尾瀬ヶ原を歩いて群馬県側の鳩待峠で下山する計画だ。

 休みの予定や山小屋の予約などの兼ね合いもあり行程はほぼ確定しているので,「尾瀬夜行23:45」とあわせて帰りのバス「尾瀬号」のきっぷは東武トップツアーズの WEB サイトから予約した*1。今回は出発の1週間ほど前に自宅に以下の3枚のきっぷが宅配されてきた。

浅草→沼山峠の乗車券に相当する FEEL クーポン

尾瀬夜行23:45の船車券東武鉄道野岩鉄道特急券

高速バス「尾瀬号の FEEL クーポン」

尾瀬夜行23:45 浅草→会津高原尾瀬口

列車名 浅草 北千住 新越谷 春日部 会津高原尾瀬口 駒ケ岳登山口 御池 沼山峠 運転日 備考
5163列車
尾瀬夜行23:45
23:45 00:00 00:14 00:30 03:08
(03:50まで仮眠可)
浅草発2023年10月までの
主な金・土曜日
500系3両で運転
全車指定席
専用バス (04:10に回送バス到着)
04:20
05:20 05:50 06:10 自由席

尾瀬夜行23:45」とその接続バスの時刻表
(左右にスクロールします)

 金曜日の夜,横浜の自宅から電車を乗り継ぎ浅草へ向かう。「尾瀬夜行23:45」が発車する東武鉄道の浅草駅へは地下鉄銀座線浅草駅からの乗り換えが便利。華金の銀座線は飲み会帰りのサラリーマンや遊びから宿に戻る外国人観光客などが溢れていて,登山ウエアに大きなザックを抱えた私達はちょっと浮いた感じになっていた。

尾瀬夜行23:45
方向幕と減灯時の車内の様子

 浅草駅できっぷに入鋏してもらい,「尾瀬夜行23:45」に乗車。列車は3両編成だが,浅草の時点で乗車率は7割ほどといい感じの乗車率。浅草発車を見届けたら,前回の乗車経験をもとにこのために持ってきた安眠グッズ(耳栓,アイマスク)を装着して入眠に備える。既に遅い時間だが,日付が変わっているにも関わらず雑談に興じる利用者がいて,その点はちょっと残念だったが耳栓を持ってきて正解だった。

 列車は新越谷まで走ったところで抑止。この先の駅で触車事故があったらしい。到着が遅くなったら嫌だな……と気をもんだが,14分の遅れで発車したので,スケジュールへの大きな影響は無さそうだ。

 その後,いつの間にか寝ていて,気付いたら野岩鉄道に乗り入れて終点の会津高原尾瀬口に到着していたところだった。列車は 3:08 着だが,3:50 までは車内で待機可能。というか,その 3:40 頃までアナウンスが無いのでほとんどの人がそのくらいまで車内で仮眠することになる。私は目が覚めてしまったので,写真を撮ったり,お手洗いに行くなどして時間を潰した。ちなみに列車内のお手洗いは行列ができていたが,会津高原尾瀬口駅には2箇所トイレがあるので,わざわざ列車内で行列に並ぶ必要はない。

会津バス 会津高原尾瀬口→沼山峠

 「尾瀬夜行23:45」の車掌のアナウンスに従って駅を出て,バスロータリーで専用バスを待つ。バスは 4:10 に到着するので,20分ほどは駅の外で待ちぼうけだ。標高が高く,会津高原尾瀬口駅の気温は17℃ほどで肌寒い。バスが来るまで列車で待機できるようにするか,バスがもう20分早く到着できるようにして外で待つ時間をなるべく減らしてほしいのだが,この点は「尾瀬夜行23:55」「スノーパル」で乗ったときから全く変わっていない。

会津高原尾瀬口駅で発車を待つ専用バス
 この日のバスは4台運行。バスに乗ったら,沼山峠まで2時間弱。ほとんどの人は仮眠していたが,私はずっと起きていて,深い山道を走ったり,時折小さな集落を抜けたりする車窓を眺めて南会津のバスの旅を楽しんだ。

尾瀬トレッキング

 YAMAP で登山届を提出し,7時に沼山峠から尾瀬に入る。大江湿原を抜けて尾瀬沼までは前回の尾瀬と同じコースだ。そのまま沼尻から尾瀬ヶ原へ抜けて,13時には尾瀬温泉小屋に宿泊。翌日は尾瀬ヶ原のトレッキングを楽しんで,予定通りに鳩待峠に到着した。

宿泊した尾瀬温泉小屋。
すこし濁りのある硫酸塩泉の赤田代温泉を楽しめる。

池塘至仏山

池塘と燧ヶ岳

 はじめての尾瀬ヶ原はとても開放感にあふれいて,見渡す限りの湿原と後ろに燧ヶ岳,前に至仏山の美しい山容を眺めながらの絶景トレッキングは素晴らしいものだった。

 尾瀬のトレッキングについては,YAMAP の活動データに詳細を載せているのでこちらも参照してほしい。  

乗り合いタクシー 鳩待峠→尾瀬戸倉

鳩待峠からは乗合タクシーが頻発運行

 鳩待峠はマイカー規制がかかっているので,峠の入り口にあたる尾瀬戸倉まで乗合バスに乗るか乗合タクシーを利用することになる。時刻表はあるがバスかタクシーが頻発しているので,次発のタクシーに乗車。峠道をかなり飛ばして走っているのと,ほかの登山客の汗の匂いにやられて,珍しく乗り物酔いしてしまった。

関越交通バス尾瀬尾瀬戸倉→練馬駅

 尾瀬戸倉に着いたら,尾瀬戸倉温泉尾瀬ぷらり館」でひとっ風呂。硫化水素の香りがする透明な温泉でリラックス。

関越交通バス 尾瀬

 その後尾瀬戸倉から満員の関越交通バス尾瀬に練馬まで乗車して帰京。疲れてほとんど寝ていたので気にならなかったが,関越道の渋滞で35分遅れとなっていた。

あとがき

 群馬・新潟・福島の3県にまたがる尾瀬ヶ原は,神奈川住まいの私にとってはとても遠い場所。夜行列車「尾瀬夜行23:45」に乗って朝早くから行動することで,昼過ぎには山小屋に到着してゆっくり過ごすことができた。尾瀬ヶ原は憧れの場所でもあったが,この列車がなければゆとりをもった行動をするどころかそもそも訪問することを諦めていたかもしれないので,とても有り難い存在だ。

 今回の登山で燧ヶ岳や至仏山にチャレンジしたいという次の目標も出来たので,また機会があれば「尾瀬夜行23:45」に乗車して尾瀬に向かいたい。



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