きっぷ片手に旅をする

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「谷川岳山開き」号でゆく谷川岳登山(2019)

 2019年7月6日(始発駅基準)に上野~土合間で「谷川岳山開き」号の運転がありました。その名の通り谷川岳の山開きに合わせて設定され,往路は山開き祭典に合わせて早朝に現地に到着するよう夜行列車で,復路は登山帰りにあわせて夕方に運転されます。

 以前から谷川岳に登ってみたいと思っていたのですが,上越国境の中央分水嶺にある山。東京からの日帰りで行くにはなかなか難しい山です。この列車を使えば日帰りで谷川岳に登れるため,この列車に乗って谷川岳に登ってきました。

谷川岳山開き号 上野23:35 → 土合03:10

 谷川岳山開き号が上野駅を発車するのは土曜日の夜。運行時間が3時間程度と気休めにしかならないほどの仮眠しかとれないため,土曜の夕方に少し昼寝しておきます。

 夕食を済ませてから上野駅へ。上野駅へ向かう列車でさっそく登山スタイルの乗客を見かけました。深夜の電車で汚れていない登山靴。この人も谷川岳山開き号に乗るのでしょう。

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夜の上野駅。「谷川岳山開き号」の快速土合ゆきの表示。

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今夜限りの上野発夜行列車

 列車は波動用車両としてお馴染みとなってきた185系6両編成。ホームに入るとすでに列車は入線しており,オタクが写真を撮りまくっているところでした。ブルートレインが消え,定期夜行列車もサンライズだけとなったこのご時世,夜行列車そのものも珍しいのでしょう。

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谷川岳山開き号の車内

 列車内は網棚にザックが並ぶ,いかにも登山のための列車の風景。終点の土合駅に深夜3時につくこともあってほとんどが登山客でしたが,もの珍しい高崎線夜行列車を楽しむオタクの姿も少なくありませんでした。

 列車は特急並みの停車駅で高崎線を下るものの,昼寝をしてきた身のうえ窮屈な185系のシートのためなかなか寝付けず。高崎を出たあたりでようやく寝付けましたが,はっと気づいたときには土合駅に到着していました。

谷川岳登山:土合駅→土合口駅→天神平→谷川岳オキの耳

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土合駅到着

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ホームから462段の階段を上って駅の外へ。

 土合駅の狭いモグラ駅のホームに登山客がいっせいに吐き出されます。ホームで地元の方の歓迎を受けつつ,462段の階段を上って駅の外へ。列車を降りた瞬間から,谷川岳登山は始まっています。

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 土合駅の待合室では豚汁のふるまいがあり,ありがたくいただきました。深夜3時にもかかわらずありがたいことです。駅を出て谷川岳ロープウェイの駅まで,松明の明かりを頼りに真っ暗な山道を歩いていきます。

 途中の広場で山開きの式典がありましたが,それを横目にロープウェイの駅まで直行。朝4時すぎにロープウェイ駅についた頃にはまだ乗車待ちの列はあまりできておらず,式典をスルーして正解でした。

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谷川岳ロープウェイ 土合口駅

 土合口駅の乗車待ち列に待機すること1時間。出札が開いてようやくロープウェイのきっぷを手にすることができました。そのまま乗り場へ直行してロープウェイに乗車。

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ロープウェイから。谷川岳は雲の中。

 行列に並んでいる間に日の出を迎えていて,すっかりあたりは明るくなっていました。ロープウェイから見る谷川岳はすっかり雲の中に隠れていて,前途を危ぶまずにはいられません。

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 ロープウェイの山頂側の駅である天神平で準備運動などして5時半ごろに登山開始。ひらすらガスっている登山道を進んでいきます。いちおう初心者でも登れるルートなので体力面では十分でしたが,折からの睡眠不足と小雨がパラつくガスりまくりの天候が精神面をズタズタにしていきます。

 森林限界をこえてもガスりまくりの景色は変わらず,気持ちが高ぶらないまま肩の小屋を通過。谷川岳トマの耳を越えてオキの耳へ。

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谷川岳(オキの耳)頂上

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オキの耳からの風景。右手のピークがトマの耳。

 オキの耳に近づいたあたりで視界がクリアになり,山頂についたときに見えたのは一面の雲海と,雄大谷川岳の稜線の姿でした。つらい場面もあったけど,めげずに登ってきて良かった。7時45分,谷川岳登頂。

 頂上で一息ついてエネルギー補給をして下山しようとすると,昨夜上野駅に向かう列車内で見かけた登山者から写真を撮ってくれと依頼が。やっぱりあの列車に乗って谷川岳に登ったんだ!とこみ上げてくる嬉しい気持ちを抑えながら写真を撮りました。

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谷川岳山開き」号の乗車券・指定席券

 今年(2020年)も「谷川岳山開き」号の設定こそあったものの, COVID-19 感染症の関連もあり,運転1ヶ月前になっても指定席券は発売されず保留のままとなり,ついに6月半ばに運転取りやめが発表されました。残念ではありますが,谷川岳を存分に楽しめるこの列車を来年も運転してほしいと願うばかりです。