新宿→白馬間で臨時夜行特急「アルプス」が運行開始した。2024年夏の週末の一部(新宿発7月12日,8月9日,9月13日・20日)で運行される。
列車名 | 新宿 | → | 松本 | 信濃大町 | 白馬 | 備考 |
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特急 アルプス |
23:58 | → | 5:10 | 5:53 | 6:22 | *1 |
今回は7月12日発の特急「アルプス」に乗車してきたのでレポート。
特急「アルプス」新宿→白馬
せっかく特急「アルプス」に乗って白馬まで行くので,北アルプスに登山することにして,そのアクセスとして利用することにする。日帰り+αの登山装備を詰め込んだザックに登山靴の「いかにも登山者」スタイルで,湘南新宿ラインに乗って新宿駅へ。
新宿駅に到着間際,車掌からのアナウンスで「臨時特急アルプス号にお乗り換えのお客様は7番線から23時58分発です」の肉声放送があり,少し気分は高ぶる。
「アルプス」が出発する新宿駅7番線は鉄道オタクが詰めかけていて,かなりのお祭り騒ぎ。”正統派”座席夜行列車の運転は首都圏のJR線では2020年に運行終了した大垣行きの快速「ムーンライトながら」以来,中央線方面では2018年に運行終了した快速「ムーンライト信州」以来であり,オタクにとっては待ちわびた「座席夜行列車の復活」であった。
特急「アルプス」は特急「踊り子」で使われるE257系9両編成で運転。この車両は別のカラーでかつて中央線特急「あずさ」で運転されていたのであまり新鮮な感じはしない。
列車に乗ってみると,車内はほぼオタクで登山者は1車両に1人~2人くらいかというくらい少数派。初モノの列車なので,オタクばかりになるのは仕方ない。
伊豆特急らしい水色モケットの座席に着座すると,目に入るのは「伊豆navi」のパンフレット。これから日本海側のヤマに向かうのに,太平洋側の海の観光アプリの宣伝をされても全く興味が無い。素人目にも「踊り子」の車両をそのまま持ってきたことがバレバレである。
窓側座席にはコンセントを備え,モバイル機器の充電は安心だ。とはいえ昼行特急と同じ車両なので,リクライニングはわずか。熟睡するためにはネックピローを持参してくるなど一工夫必要だ。
きらびやかな新宿駅を定刻で発車し,中央線を走る。運行頻度の多い中央線快速電車の合間を走るので,立川あたりまではかなりのノロノロ運転。八王子を出ると松本まで客扱いは無く*3ここで減灯となるが,点灯する照明が 1/3 程度になっただけで真っ暗ではない。持参したアイマスクと耳栓,ネックピローを装備して就寝した。
起きるとすでに日は高く,間もなく松本駅。松本では7分停車するが,この日はこれから登山の予定だから座席で丸まって二度寝する。
次に起きた頃には大糸線を走行中で間もなく白馬。朝靄かかる車窓を眺めつつ,ネックピローなどを片付け,軽く食事をしたりお手洗いを済ませる。夜行列車は寝るときはつらいが,朝起きたときに他の人に必要以上に配慮しなくて済むので好きだ。数分の遅れをもって白馬駅に6時半に到着。5時間半程度は睡眠時間が確保できた。
北アルプス唐松岳へ
白馬駅を降り立ったあとはタクシーとスキー場のリフトを乗り継いで,白馬八方尾根スキー場から唐松岳へ入山。頂上では絶景の北アルプスの山々を眺められ,とても素晴らしい登山となった。
乗車後記
特急「アルプス」は前述したとおり中央線では久しぶりの夜行列車であった。9両編成の列車はほぼ満席で,順調な滑り出しだ。「アルプス」と接続する形で,接続する交通機関も増発や増結の対応がとられ,周遊性が高められる施策がとられていた。
今夏の運行が盛況なら,冬以降の繁忙期の運転も期待できる。JR他社に跨がらない区間であればJR西日本の「WEST EXPRESS 銀河」など夜行列車の運行実績は多く,JR東日本においても「夜行列車の復権」となる布石となるかもしれない。
一方で,(建前上は)メイン客となるであろう登山などレジャー客はまだわずかだ。レジャー客向けではアルピコ交通などが新宿から上高地や栂池に直行する夜行バスを運行していて,超繁忙期でなければ運賃料金や座席設備,登山口へのアクセスの面で不利な特急「アルプス」を好んで使うレジャー客は少ないだろう。急行列車として料金をおさえたり,夜行利用でも快適な設備にするなど,レジャー客が「利用したい」と思う列車でなければオタクに飽きられた時点でこの列車の運行は終了だ。
快速「ムーンライト信州」は最末期でなければ登山客利用がそれなりにあり,網棚にザックが連なる風景が見られた。いま,2024年問題により鉄道は追い風になっている。特急「アルプス」も鉄道オタクだけでなく,レジャー客など様々なスタイルの乗客に利用できる列車に進化していってほしい。
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