きっぷ片手に旅をする

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ベスト・オブ・ザ"秘境駅"「小幌駅」お手軽訪問記(2024)

 秘境駅とは,人里離れた場所(秘境)に設置されている駅のことをいう。秘境駅訪問記サイト「秘境駅へ行こう!」の牛山隆信氏が広めた言葉である。その秘境駅ランキングで第1位となっているのがJR北海道室蘭本線にある「小幌駅」である。

 小幌駅の存在自体は一応認知していたが,駅めぐりは趣味ではないし,停車する列車本数も少ないので訪問する機会はこれまで無かった。通過する特急列車から一瞬見える小幌駅をチェックしていたくらいだ。

 今年の夏休みは東京から北海道・宗谷岬までクルマでドライブすることになったが,その途中で小幌駅があるエリアをクルマで通過することと,同乗する嫁からのリクエストもあり,小幌駅へ訪問することにした。

列車番号 長万部 小幌 豊浦 東室蘭 備考
472D 08:54 08:36 08:18 07:27 室蘭始発
478D 15:23 15:06 14:48 13:56
481D 15:30 15:46 16:05 16:54
480D 17:55 17:38 17:20 16:17
487D 19:39 19:55 20:13 21:03
484D 20:38 20:21 20:04 19:03 苫小牧始発

小幌駅停車列車時刻表(2024年8月現在)

 上記が小幌駅に停車するすべての列車の時刻表室蘭線東室蘭長万部間,抜粋)である。上り列車(長万部方面)は4本,下り列車(東室蘭方面)は2本しか停車しないが,駅の訪問がしやすい日中帯の列車になると,さらに限られてくる。

 今回は,初回の訪問ということもあり,小幌駅滞在時間が約40分でお手軽訪問できる 478D と 481D を利用しての訪問とした。

室蘭本線 478D 豊浦から小幌駅

 小幌駅から3つ東室蘭方にある豊浦駅前にクルマを停めて,豊浦駅から長万部行き普通列車に乗車する。豊浦駅は無人駅だが,乗車券類の簡易委託がある。駅舎に入る食事処できっぷが買うことができるようだったが,14時すぎに訪問した時点で営業終了していた。きっぷ好きとしては少々残念だが,この駅は券売機などもないので,車内精算することにして駅に滑り込んできた1両の普通列車に乗り込む。

豊浦駅から普通列車478Dに乗車

 このあたりの室蘭本線は,内浦湾沿い海に近いところを走る。海岸もわずかにあるが,多くが丘陵地で,山がそのまま海に落ち込む険しい地形となっている。室蘭本線はその山を長いトンネルで貫通している。

 礼文駅発車後,1両の単行列車は長いトンネルをひた走る。トンネルの騒音でかき消されそうになりながら,小幌駅到着の自動放送が入る。列車はトンネル内で減速し,トンネルの外が見えたと同時に,その小さい駅にたどり着いた。

トンネルの出口にその駅はある

小幌駅を散策

 小幌駅は周囲を山に囲まれた谷間の,トンネルとトンネルの間のごくわずかな明かり区間にある駅だ。列車を降りると,乗っていた列車はすぐに次のトンネルへ滑り込んで行った。周りを見渡さなくとも視界にあるわずかな土地だけが小幌駅のすべてであり,山肌が迫ることによる圧迫感もある。

小幌駅での客扱いを終えて次のトンネルに入る普通列車478D

 小幌駅の周囲を散策してみる。駅自体は1両ほどしか止まれない長さの簡易なホームが上り線・下り線にそれぞれ設置されている程度で,駅周辺の建物は保線小屋,物置,バイオトイレがあるのみだ。他に建物の土台部分だけがあるなど過去の営みを感じられるものもあるが,生い茂る雑草に隠れて全体像はよくわからない。

小幌駅のパノラマ写真

小幌駅周辺の建物のすべて(中央・保線小屋/左・トイレと物置)

 駅から海岸方向に歩いていくと「岩屋観音」があるが,今回は訪問時間が40分であることや夏場で雑草が生い茂る中で装備が不足していることもあるので行かず。駅のホームでドライブ途中に長万部で買った「かにめし」を食べて過ごす。

駅名標

 室蘭本線は北海道と本州を結ぶ大動脈である。複線非電化の当線には特急列車や貨物列車が多数走っている。小幌駅滞在中のわずか40分の間に特急列車が上下各1本,貨物列車が下り1本通過した。列車自体はそれなりに通過するので意外と飽きないが,前後をトンネルに挟まれているうえホームはかなり狭く,特急はかなりのスピードで通過するので危ない。列車見物は慎重にしたいところだ。

小幌駅を通過する特急「北斗」

 ほかの人が映り込んでいる写真もあるように,この小幌駅もにはこの日 478D で下車した人が私たちを含めて十数人いて,ひとつ前の礼文駅よりも多くの人が下車していた。狭い空間にそれなりに人がいるので,秘境感は薄いが心細さもない

時刻通りに 481D がやってきた

 時刻通り,帰りの東室蘭行き普通列車 481D が滑り込んできた。この日,行きの 478D で小幌を降りた私たちを含む十数人は揃って 481D に乗り込んだ。

証明書

 481D で豊浦へ戻り,豊浦駅からクルマで5分ほどにある温泉施設「天然豊浦温泉しおさい」へ。小幌駅駅名標と自撮りをして,こちらの施設の受付で写真を見せると,秘境到達証明書をもらうことができる。

秘境到達証明書

 証明書の No. は3000番台。道の駅などでも証明書をもらうことができるので単純な連番では無さそうだが,それなりに多くの人が証明書を受け取っているようだ。

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