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人気列車のきっぷを予約しよう JR「10時打ち」やり方入門(2022年版)

 唯一の夜行列車となった寝台特急サンライズ瀬戸」「サンライズ出雲」や人気の観光列車,「◯◯記念号」のようなヲタ列車は,発売開始とともに満席になることも少なくない。そもそも座席の少ない列車であればなおさらだ。2020年に運転された「SL鬼滅の刃」は発売開始1秒で売り切れた。

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 乗りたかった列車が満席で乗れなかった経験があるという人もいるだろう。でも,発売開始数秒で売り切れる列車の予約をどう取れば良いのだろう?

 そういう列車にどうしても乗りたい場合は発売開始(1ヶ月前の10時)の瞬間に買う,いわゆる「10時打ち」をすれば希望の指定席券が手に入る確率が上がる。とはいえ昨今ではネット予約なども充実してきたので10時打ちといってもいろいろな手段がある。

 この記事では確実に列車に乗るための「10時打ち」をするためにメリデメを比較しつつ初心者向けにやりやすい方法をまとめて解説する。

 

JR の座席管理システムについて

 本題に入る前に,JR の座席管理をどうしているのかを知っていたほうが良い。JR の座席予約をつかさどるのは「MARS(マルス)」といわれる大きなシステムで,マルスの DB が JR 特急のほとんど*1の座席を管理している。マルスといえば駅の出札(みどりの窓口など)で係員がいろいろと操作をしている機械というイメージが強いが,あの機械はマルスシステムの端末であって,係員がシステムとやりとりすることで座席を確保している。

スマホで予約しても窓口で買っても取れる席は基本的に同じ

 同様に,「えきねっと」などの WEB サービスもマルスに接続して,WEB サービスの サーバがマルスシステムとやりとりすることで座席を確保している。
 いずれにせよ,駅で買うにしろインターネットで買うにしろ,同じところで管理している席を取りに行くということになり,10時の発売開始からいかにタイムラグを小さく席を取りに行くのかが「10時打ち」成功の鍵となる。この点を踏まえながら手軽に「10時打ち」できる方法を紹介する。

 

えきねっと」などの WEB サービスで10時打ち

 「えきねっと」(JR東日本)や「e5489」(JR西日本)はインターネットで列車の予約をとれるサービスで,会員登録が必要だが一部の座席を除いてオンラインで予約をとることができる。
 発売日の10時になれば「えきねっと」などでも発売開始されるので,10時になってから「えきねっと」を操作すれば座席を取りにいける。ただ予約に際して複数画面の操作が必要なので,予約完了したとしてもその頃には10:01くらいになっている。他の多数のライバルたちに勝てるかは微妙だ。ただ新幹線など,座席数が多かったり別の列車になってもなんとかなりそうなものなら充分使えるだろう。また,ネット限定の割引商品(トクだ値など)は窓口では購入できないので,このような商品を予約するのにも向いている。

 なお「えきねっと」と「e5489」では座席予約の仕様が異なり,えきねっとは予約確定前の決済方法を入力する画面(「予約内容の確認」画面)まで到達できれば座席が仮押さえされている*2が,「e5489」では仮押さえは無く予約確定の時点でようやく座席を取りに行く仕様になっている。少しでも早く座席を取りたい場合は「えきねっと」を使うとよさそうだ。

 

えきねっと」などの事前受付を使って10時打ち

 「えきねっと」「e5489」などの web サービスは発売日の10時にわざわざ「10時打ち」をしなくても良いように事前受付(事前申込)サービスがある。発売前でも希望列車の事前予約を入れたら発売日の10時に勝手に「10時打ち」してくれる。とてもありがたいサービスだ。

www.eki-net.com

……だったら良かったのだが,この事前受付は,発売日の10時に事前予約をした先着順*3で「えきねっと」などのWEBサービス順次マルスに対して座席を取りに行くに過ぎずきっかり10時に取りに行くとは限らない。

 仮に「えきねっと」がマルスに対して1秒に10回のペースで事前予約の席を取りに行くとして,事前予約の順番が先頭から10000番目を取っていたら,マルスに取りに行くのは発売開始から約17分後となる。これでは普通に手で買ったほうが早い。

 事前受付は列車乗車の1ヶ月1週間前14:00から(えきねっとの場合)受付開始されるが,事前予約に賭けるなら受付開始してすぐ事前予約をとる必要があり,14:00に事前予約をとる「14時打ち」をする人もいるが,本末転倒な気がしてならない。

 とはいえ,えきねっとでの10時打ちと併用するとか,とりあえず抑えておきたい,滑り止めに,など本気度が小さいときには有用な一手になるが,人気列車などで事前受付だけを頼るのは私はおすすめしない。

 

駅で10時打ち

 元祖10時打ちである。より確実に座席を取りに行くなら駅で10時打ちするのがいちばん良い。

 10時少し前に駅の出札窓口(みどりの窓口など)に行き,申込書を記載して係員に希望列車を伝えれば,あとは10時きっかりにマルス端末の発信ボタンを押下してくれる。マルスシステムにリクエストが届くのは10時00分01秒くらいだろうから,これで座席が取れなかったら「運が悪かった」というくらいだ。

 ただ,駅は窓口数が限られるので10時少し前に行って行列ができていたら終了だし,発信ボタンを押す係員の技量が悪かったら元も子もない。以前行われていた駅での事前申込や,10時を待つ人の待機列を設けないなど,駅のサービス低下は著しい*4。また,仕事などがあると駅に赴くのもなかなか難しい。空いていて信頼できる係員のいる駅を自分で探し,自分のスケジュールを駅に合わせるのも確度の高い「10時打ち」には必要だ*5

駅での10時打ちは係員も緊張するだろうが申込みしている自分も緊張している。
発信してマルス端末の画面上に「YES」回答(座席がとれたこと)が出たときの安心感たるや。(画像はイメージ)

 

 このように一長一短ある各種「10時打ち」だが,利用したい列車の特性にあわせて「10時打ち」の仕方を選んだり,駅で申し込みしつつえきねっとを操作するなど二重で対策するのもよいだろう。

方法 10時とのラグ メリット デメリット
えきねっと」などWEBサービス 1分程度 気軽にできる 人気列車等の座席確保は厳しい
えきねっと」などの事前申込 0~数時間 発売前に申し込みが可能 人気列車等の座席の確保はより厳しい
数秒 人気列車等の座席の確保の成功率が高い

10時に駅に行くのが難しい駅により技量がまちまち

 

 ほかにも「10時打ち」のやり方はいくつかあるが長くなるので省略する。「10時打ち」を極めて皆さんの乗り鉄ライフが豊かになることを願う。


 (おことわり)この記事には2022年8月時点での筆者の経験則に基づいて記載しています。間違いなどありましたらご指摘ください。

*1:小田急連絡の特急「ふじさん」のような例外もある

*2:前の画面に戻ったり一定時間操作がなかったりする場合は仮押さえが開放される

*3:えきねっとの場合。経験則による

*4:特にJR東日本管内

*5:要するにこればかりは自分の足で駅を回るなど経験が必要